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dashDB,Watson--IBMがInsight2014で見せた新技術

  2014/10/28 18:00

 IBMがラスベガスで開催したカンファレンスIBM Insight 2014で、新しいテクノロジーが紹介された。IBMはビッグデータの次の戦略として、アナリティクスとクラウドを連携させ、さらにWatsonで培ってきたコグニティブコンピューティングを取り込み、高い領域で融合させようとしている。

洞察・予見のためのアナリティクス

IBM Insight2014が開催されたラスベガス マンダレイ・ベイ

 昨年までは「Information On Demand Conference」という名称だったIBMの年次カンファレンス。以前はビッグデータ分析をはじめとするソリューションや製品が多く紹介されていた。

 今回から名称が「Insight」(知見・洞察)に変わり、ビッグデータは変わらないテーマのひとつではあるものの、従来のビッグデータの定義を超えようとするIBMの方向性が示されているようだ。キーノートの内容も、かつてのアプライアンスやDB2などのデータベース製品などについてはあまり語られず、従来製品をクラウドベースのサービスに一新する動きが目立った。さらに、アナリティクスはPredictive(予知)な先進性が強調された。

 また、IBMの基礎研究的なプロジェクトとして知られてきた「Watson」も、アナリティクスやデータサービスの中にしっかりと根付いたものとして紹介された。(ただし質問応答システムのWatsonとエンジンは別でSPSSなどのテクノロジーの系統だという。)

 予知・予見のためのアナリティクス、自然言語や認知の科学を取り込んだコグニティブ・コンピューティング、そしてSoft Layer買収以降のクラウド、さらにはAppleとの提携に見られるモバイルなどから、次への戦略が解説されるとともに、データベース、データサービス関連の新技術の紹介もおこなわれた。

シニア・バイスプレジデント Bob Picciano氏

“ジェネレーションD”が生まれている

 ニューヨークタイムズのデータサイエンティストJake Porwayの司会で始まり、最初にプレゼンターとして登壇したのは、シニア・バイスプレジデント Bob Picciano氏。

 「データをビジネスの中心に置き、アナリティクスから価値を生み出す“ジェネレーションD”と呼ばれる新しい企業群が生まれてきています。データとは企業の知見・洞察を生むための燃料。企業の中のデータだけではなく、ファイヤウォールの外にあるデータが大切です。そして、これまでの決まったルールで動くプログラム中心のコンピューティングではなく、コグニティブ・コンピューティングの時代なのです。これらは先の話ではなく、今起きている現実なのです。」(Bob Picciano氏)

 たとえば航空機エンジンのプラット&ホイットニー社は、ヨーロッパのエアバス、ボーイング、などの商業用エンジンとともに世界29カ国の軍用機のエンジンを提供している。そうしたエンジンの開発にあたっては、アナリティクスを用いたエンジンの故障の予見をおこない、フライトのキャンセルの可能性を最小限に低減するとともに、燃料解析、エンジンの健全性、飛行中の不具合、飛行地域の状況などの大量データの分析が開発効率を高めている。

 「ビッグデータの目的はテクノロジーではなく、ビジネスのアウトカム(成果)です。ビジネス側と連携しなければならないし、ビジネス側のコミットメントが成否の鍵といえるでしょう。そこではマネジメントのリーダーシップが重要となるのです」(Bob Picciano氏)

Watson Analyticsがマーケッターの仕事を変える

 

 次に登壇したMarcus Hearne氏は、Watson Analyticsによる顧客分析とマーケティング戦略のデモを行なった。

 「これまでマーケッターの分析に負担の大きかったデータの準備が必要なく、また分析の結果もWatsonの側から提案として出てきます。保険のセールスであれば、たとえば“どのキャンペーンが私の客に一番良いか”を自然言語で質問するだけで、的確な回答を提示してくれます。キャンペーン施策のうち、どれか反応の良くないものがあれば、それらをドリルダウンして解析できます。昔なら大量の予測モデルが必要でしたが、ポリシーに応じでWatsonが肩代わりします。売れば売るほど顧客の生涯価値が向上していくのです。」と語り、言語入力、位置情報分析、決定木などの様子をデモで示した。

 

DataWorks、dashDB、Cloudant--データサービスの新世代技術

 この日、IBMは新しいデータサービスを3つ紹介した。「IBM DataWorks」、「IBM dashDB」、「IBM Cloudant Local」だ。プレゼンテーションはBig Data,Integration Governanceのバイス・プレジデント Inhi Cho Suh氏。

Big Data,Integration Governance バイス・プレジデント Inhi Cho Suh氏。

DataWorks」は、データ精製(リファイン)サービス。これまでビジネスユーザーにとって時間とスキルを要していたデータのクレンジングという作業を、クラウドベースで簡単に行いビジネスユーザーを解放する。

 「dashDB」は、クラウド型のDWHおよびアナリティクス・サービス。、応答時間を短縮するためにインメモリー技術が組み込まれている。これにより、dashDBでは、インフラストラクチャーが重要なアナリティクスや時間的制約のあるアナリティクスの障害にならないようにする。dashDBとCloudantが新たに統合されたIBMのNoSQLによるサービスとしてのデータベース(DBaaS)によって、Webアプリケーションやモバイル・アプリケーションにアナリティクスを組み込むことができる。 これは、これまでのDB2「BLU」のインメモリ、カラム型データベースの流れと、データベースに分析エンジンを組み込み高度な分析を高速化した「ネティーザ(Netezza)」のハイブリッドともいえる技術だという。

 「Cloudant Local」は、2月に買収したCloudant社のクラウドDBaaSのオンプレミス・エディション。プライベート・データ・センター、モバイル・デバイス、サード・パーティー・クラウド・プロバイダーにわたる流動的なハイブリッド・クラウドを実現するためのものだ。

 これらのIBMの新サービスは、IBMのクラウドマーケット・プラットフォームである「Blue Mix」からいずれ導入することができる予定。

 

 



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