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キャズムまでたどり着かずに苦戦する企業がなぜ発生するのか?

  2008/09/11 11:00

 豊富な経験と技術力を持ち、優秀な人材を集めて立ち上げたベンチャー企業が成功しなかったとき、「キャズムで失敗した」という表現がなされることがある。しかし、問題はそうではなく、キャズムにすら達成していないベンチャー企業が多いことだ。その打開策の1つとしてCDM(Customer Development Model)を紹介する。

総合商社からベンチャーキャピタルまで、一貫してベンチャーとかかわりを続けてきた堤氏。セッション「キャズムまでたどり着かずに敗退する企業がなぜ発生するのか?」は、まず「新規事業とはなにか」という話題からスタートした。

堤 孝志氏(三井住友海上キャピタル)
堤 孝志氏(三井住友海上キャピタル)

新規事業とは

 そもそも新規事業とは、どのようなものでしょうか。新規事業は、大きく社外と社内に分類できます。社外の場合は「ベンチャー創業」であり、社内の場合は「社内事業の立ち上げ」です。

 いずれの場合も、新規事業には以下のような特徴があります。

  • 製品・サービス:存在しない。これから開発
  • 顧客:いない。これから開拓
  • 売上:ゼロ。これから儲ける
  • 人材:自分だけ(または、数名の創業チームだけ)

 すべての面において「これから、ゼロから立ち上げていく」。これが新規事業です。

新規事業失敗の原因

 新規事業には厳しい現実が待ちかまえていることが、ベンチャー企業を多数見てきた経験から分かります。たいていの場合、新規事業は計画通りにはいきません。「成功する新規事業は、せいぜい3割程度」などとよく言われますが、本当にゼロから立ち上げる場合は、それ以下かもしれません。事業計画では、×月×日までに製品の開発を終了し、市場に投入。以後、製品は倍々ゲームで売れる、といったシナリオを描いているのにもかかわらずです。その理由として、「費用計画がどんぶり勘定・浪費」「性能・品質に問題」「管理能力の欠如」「社員が疲弊・人が採れない」といった原因が見受けられます。

 しかしながら、新規事業が失敗する最大の原因は

  • モノが売れない

ことにあります。商品と市場のミスマッチです。「良いものを作れば認めてくれるはず」「メディアで取り上げられた」「優秀な営業を採用した」、だから“作れば売れる“と想定したけれど、実際は思うように売れないというのはよくある話です。

 出荷開始までは計画通りであることも多く、プロジェクトマネジメント的には成功と一瞬思えますが、収益が上がらなければ当然事業は続きません。では、なぜ売れなかったのかを見てみると、以下のような理由があります。

  • 「すぐ」または「そこまで払って」欲しいものではなかった
  • トータルの導入コストが高すぎた。
  • セールスサイクルが想定外に長かった
  • ほかに代わる良いモノがあった...

 このほかにも「キャズムにはまってしまった」という理由を挙げる人もいるますが、それは事実誤認ではないでしょうか。キャズムとはジェフリー・ムーアが提唱した概念で、「ビジョナリーと呼ばれる、イノベーションに前向きにな人たちがいる市場と、製品導入にメリットを求める実践主義者(初期多数派)がいる市場には大きな谷(キャズム)がある」とする説です。

キャズム?
キャズム?

 しかし、新規事業立ち上げで問題なのは、そのキャズムにすら達していないことが多いという点です。キャズムにはまるどころか、キャズムを目にする前に市場からいなくなってしまうのです。

 逆に製品が売れたパターンには、以下のようなものがあります。

  • 製品が完成する前に受注した(その機能がないと想定した性能を発揮できない)
  • 開発中も対象ユーザーと対話し、ニーズを探り、開発部門にフィードバックした
  • 顧客の重要課題を解決するものだった
  • 立ち上がりまでに時間がかかるので、小さく始めて徐々に大きくした

 これらの特徴をまとめると、「製品出荷前に市場・ユーザーを真に理解する」ことが重要だと言えます。このような好循環を生み、新規事業を“図る”には、次に説明するCustomer Development Model(CDM)の考え方が役に立ちます。

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著者プロフィール

  • 川月 現大(カワツキ ゲンダイ)

    東京在住。編集者。風工舎(http://www.fukosha.com/)代表。 大学卒業後、独立系SIerを経て、大手ソフトウェアメーカー向けマニュアル制作会社勤務。1998年、編集プロダクション「風工舎」創業。IT系書籍からビジネス書の編集・エディトリアルデザイン、ウェブコンテンツ制作など、幅...

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