Azure Stack は、マイクロソフトのパブリック クラウド サービスである Microsoft Azureの「拡張機能」。Azureの IaaS および PaaS の機能、ネットワークコントローラやストレージコントローラ、ロードバランスなどのサービス群をオンプレミスに設置することができる。
Azure Stack は主に常時ネットワークに接続できない鉱山や船舶のような環境や、工場の機械などレイテンシー(遅延)に厳しい環境などで分析やデータ活用をおこなうシナリオや、金融やヘルスケア業界に代表されるような厳しい法規制に対応するために、データをオンプレミスに保持する必要があるシナリオを想定している。
とはいえクラウド/オンレミスの連携という点では、従来のハイパーコンバージドなどの仮想化による実現シナリオもあった。これらと異なるAzure Stackのもうひとつのシナリオは、統一した開発環境でハイブリッドでDevOps型でアプリケーションを構築することだ。
「クラウドとオンプレミスの中間層に統合された開発環境を設置することで開発生産性、運用性、セキュリティを高めることが出来る。ひとつの場所で開発したアプリケーションを場所を問わず様々な場所で展開が可能になる。」(日本マイクロソフト 業務執行役員 浅野智氏)
三菱日立パワーシステムはAzure Stackを早期から導入検討した。火力発電やガスタービンのプラントの遠隔監視などで収集したデータを分析・活用する際、従来はデータの機密性やクライアントのガバナンスを考慮するとパブリッククラウドでは難しく自社内でシステム構築をおこなうしかなかった。Azure Stackにより、エッジ側で先進的なAzureの機能を使えるようになったという。
また三井情報も世界中のクライアントの工場や船舶、輸送機関の画像データなどを収集・分析による高度なサービスを追求していたが、従来は大量・非定型データのパブリッククラウドへの移動の遅延などによる限界があった。Azure Stackによるエッジ側での環境構築で実現が可能になったという。
Dellは Azure Stack専用製品を発表。パートナーは現在40社。
ハードウェアメーカーとしては、今回Dellが「Dell EMC Cloud for Microsoft Azure Stack」を発表するなど専用製品が発表された。
Dellの製品は第14世代「Dell EMC PowerEdge」サーバを基盤に採用しAzureインスタンスの収容数を向上させているという。
その他、近く発表されるHUAWEIなども含め、サーバー製品は4社。ハイパーコンバージドインフラとは異なり、設定はすべてベンダー側で行い提供される。またパートナーとしては、ISV、SIer、マネージドサービスプロバイダなどの40社。
「日本ではクラウドとオンプレミスの比率は3:7ぐらい。クラウドのメリットは感じているものの法規制や顧客の条件などの理由で移行できない70%のオンプレミスのユーザーに課題解決を提供していきたい。」(マイクロソフト 浅野氏)