ストレージ支出に対する変化は「AI/MLデータの増大への対応が求められる」がトップ
IDCでは、IoT(Internet of Things)、AI、ロボティクスなどをIT支出の変革を推進する「イノベーションアクセラレーター」と位置付けている。今回のユーザー調査では、国内企業611社にAI/MLがストレージ支出に与える影響について調査を行っている。611社のうち、AI/MLを「本番導入済み」「開発/試験中」「1年~2年以内に導入を計画」「時期は未定だが導入を検討中」の企業は448社(73.3%)だった。
この448社に対して、2018年~2020年の期間でAI/MLがストレージ支出に与える影響について質問したところ、「非常に大きな影響を与える」(25.4%)、「大きな影響を与える」(44.6%)を合わせた回答率は70.0%に達し、多くの企業がAI/MLに取り組むことでストレージ支出が大きく変わると認識していることが分かった。
上記448社がAI/MLの導入に伴うストレージ支出に対する変化として想定しているのは、「AI/MLデータの増大への対応が求められる」が回答率50.3%でトップとなり、次いで「AI/MLのストレージ予算の増加」(46.2%)、「AI/MLデータの統括的な管理が求められる」(39.8%)が上位3項目だった。
具体的なテクノロジーについては、「オブジェクトストレージの導入の増加」(33.8%)、「Software-Defined Storageの導入の増加」(31.2%)、「オールフラッシュアレイの導入の増加」(26.1%)が上位項目。フラッシュの新しい接続環境である「NVMeやNVMe over Fabricsの利用の増加」も22.6%の回答を得た。
回答者の74.3%がAI/MLの利用に積極的な考えを持っている
また、経営の改善や顧客満足度の向上だけではなく、自社のITインフラの運用管理にAI/MLを利用する意向が高いことも分かった。現在、自社のITインフラ管理にAI/ML(または、AI/MLをベースにした運用管理サービス)をすでに「利用している」は8.2%に留まったが、「1~2年以内に利用を計画」は44.8%、「時期は未定だが利用を計画」は21.3%となり、回答者の74.3%(454社)が利用に積極的な考えを持っている。
AI/MLを自社のITインフラ管理に利用する理由としては、「保守サポートコストの抑制」(49.3%)、「ビジネス要求への迅速な対応」(43.0%)、「人員コストの抑制」(40.7%)が上位3項目になった。
IDC Japanのエンタープライズインフラストレクチャ/PCs グループディレクターである森山正秋氏は、「AI/MLの本格的な導入が始まることで、ストレージインフラはAI/MLを支えるデータ基盤としての役割が強く求められる。こうした役割を果たしていくためにストレージベンダーは、現在抱えているストレージインフラのボトルネックを解消できる新しいテクノロジーの実装を強化していくことが求められる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2018年 イノベーションアクセラレーターが国内ストレージ支出に与える影響」にその詳細が報告されている。調査レポートでは、国内企業のデータ保有量、保有データの種類、AI/MLの導入とストレージへの投資意向、AI/MLで利用するストレージインフラの要件や利用環境、AI/MLで利用するストレージ容量などについてユーザー調査に基づいて多角的に分析をしている。