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企業はAIの倫理的かつ責任ある利用に向けた取り組みを強化している――SAS、アクセンチュア、インテルの最新調査

AI先進企業は「責任あるAI」の取り組みにおいても先行している

© SAS, Accenture, Intel 2018
© SAS, Accenture, Intel 2018

 自社のAI導入について「成功している」または「非常に成功している」と回答したAI先進企業は、責任あるAI(Responsible AI)の取り組みにおいても他社に先行している。AI先進企業の92%が「技術者向けの倫理研修を実施している」と回答した一方、AI導入の効果が出ていない企業では48%だった。

 この調査は、SAS、アクセンチュア、インテルの3社がフォーブス・インサイツに委託し、日本(22人)を含む世界のビジネスリーダー305人を対象にして2018年7月に行われた。305人のうち、半数以上が最高情報責任者(CIO)、最高技術責任者(CTO)、最高分析責任者(CAO)だった。調査対象者の所属企業について、1,000人以上の企業が97%を占めている。調査結果は、レポート「AI Momentum, Maturity and Models for Success(英語のみ)」にまとめられている。

 このレポートでは、AIが人々の暮らしに大きな影響を与えている中で、AIの利用に関する倫理的なフレームワーク構築の重要性が増していることを明らかにしている。

 AI先進企業は、アナリティクスとAI活用の密接な関連性についても認識している。AI先進企業の79%が「アナリティクスがAIの取り組みで主要もしくは中心的な役割を果たしている」と回答したのに対し、AI導入の効果が出ていない企業では14%に留まっている。

AIの監視は不可欠

 AIは人の介在なしに動作すると考えられているにも関わらず、今回の調査で、AI先進企業はAIの監視が不可欠であると考えていることが分かった。AI先進企業の74%が「AIが生み出した成果を最低でも週に1回評価して、注意深く監視している」と回答した一方、AI導入の効果が出ていない企業では33%だった。

 また、AI先進企業の43%が「評価時に疑わしいと判断された結果を補完もしくは無効化するプロセスが社内に存在する」と回答した一方、AI導入の効果が出ていない企業では28%だった。

 このレポートでは、AI技術が進歩する中で、監視プロセスの構築が大きく遅れをとっていることも明らかにしている。

 企業は、AIの判断内容に不備があれば悪影響が出ることを理解しているため、AIの倫理的な利用に向けて対策を講じ、AIを監視している。AIをすでに導入している、もしくは導入を計画している企業の60%が、「AIによる意思決定が顧客との関係性に影響をおよぼす懸念がある」と述べている。例えば、判断内容が思いやりに欠けたり、顧客からの信頼が低下したりするといった懸念が挙がっている。

 ■その他の主な調査結果

  • 調査対象企業の72%が、1つもしくは複数の事業でAIを利用している。
  • AIを導入している企業の44%が、「AIの導入は間違いなく成功であった」と回答。主な効果として、予測や意思決定の精度向上、顧客の獲得率向上、生産性向上などが挙がっている。
  • AIを導入している企業の46%が、「複数の業務で全面的にAIを導入している」と回答。
  • 上級役職者以外の回答者は、AIの影響を前向きに捉える傾向がある。自社のAIの取り組みについて、上級役職者以外の回答者の55%が「成功している」もしくは「大いに成功している」と回答した一方、上級役職者では38%に留まっている。
  • 多くの企業は、従業員がより高度な業務に従事できることをAI導入のメリットとして挙げている。企業の62%は、従業員が単純作業ではなく、より戦略的な業務に集中できるようになるという理由から、導入効果が「表れている」または「非常に表れている」と回答した。
  • 一方、AI導入の課題として、調査した企業の約20%が「雇用が脅かされるという理由で、従業員の間に反対意見がある」と回答した。また、従業員が脅威を感じたり、ストレスを受けたりするなど、従業員との関係に影響が生じる懸念について、57%が「懸念を感じている」または「強く懸念を感じている」と回答した。

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