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コンテナの導入は構築やテスト/検証から本番運用への移行で足止めされている状況――IDCがユーザー調査

Kubernetesがコンテナオーケストレーションツールのデファクトスタンダードを確立

参考資料:Dockerコンテナの導入状況に関するユーザー調査結果・調査年別(作成:IDC Japan)

 コンテナの導入状況について調査した結果、本番環境で使用している企業は9.2%となり、2018年調査からの上昇率は1.3ポイントにとどまった。さらに導入構築/テスト/検証段階にある企業は16.7%となり、これも2018年調査からわずかな上昇となった。

 この結果から、Dockerコンテナは導入構築やテスト/検証に時間を要し、本番運用になかなか移れていない状況にあると考えられる。また、使用を計画、検討している企業と情報収集や調査を行っている企業の割合が2018年調査からやや低下している。

 この傾向は、導入意向のある企業とそうでない企業がはっきりしてきており、具体的な導入に向けた検討や調査の段階に移ってきていると考えられる。

 コンテナを本番環境で使用している企業と導入構築/テスト/検証段階にある企業を対象に、Dockerコンテナ環境で使用しているコンテナオーケストレーションツールについて調査した結果、45.5%の企業がKubernetesを使用していることがわかった。

 その次に多く使用されているのがベンダーディストリビューションであるRed Hat OpenShift Container Platformで19.8%となった。Red Hat OpenShiftではコンテナオーケストレーションツールとしてKubernetesが採用されているため、Kubernetesがコンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードになっていることがわかる。

インフラの使用効率向上と開発者の生産性向上が主要な導入促進要因

 コンテナが導入している環境について調査した結果、オンプレミスが45.5%、IaaS(Infrastructure as a Service)が31.4%、PaaS(Platform as a Service)/CaaS(Container as a Service)が23.1%となった。IaaSとPaaS/CaaSを合わせると54.5%となり、クラウドサービス上に導入している割合が半数を超える結果になった。

 コンテナの導入促進要因について調査した結果、「インフラの使用効率向上とコスト削減」が34.7%で最も高い回答率となった。コンテナは仮想マシンに比べて軽量で集約率が高く、CPUやメモリなどのインフラリソースの使用効率が向上し、コスト削減にもつながる。

 2番目に回答率が高かったのは「開発者の生産性の向上」で30.6%となった。アプリケーションの開発者が容易に開発環境やテスト環境を用意することができたり、開発環境の差異をなくすことができるなど、コンテナは開発者にとって大きなメリットがある。

 3番目以降は、「アプリケーションの信頼性/可用性の向上(28.1%)」「アプリケーション運用の効率向上とコスト削減(28.1%)」「アプリケーション開発/リリーススピードの向上(27.3%)」が続き、アプリケーションに関する効果がコンテナの導入を促進する主な要因になっている。

 IDC Japanのソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は、「コンテナはアプリケーション開発の生産性やアプリケーション能力を大きく向上させる技術であり、クラウドネイティブアプリケーションには必須である。しかし、現在の国内市場において、コンテナはまだキャズムを超えられていない。一方で、CaaSのようなコンテナとKubernetesの導入が容易なコンテナ向けクラウドサービスや、ベンダーとSIerのコンテナ導入支援サービスが充実してきており、導入に苦労している企業やPoCで止まっている企業にとって強い味方になるであろう。来年までにはキャズムを超え、コンテナの本格的な普及期に入っていくであろう」と述べている。

 今回の発表は、IDCが発行した「2019年 国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場 ユーザー動向調査」にその詳細が報告されている。レポートは、アンケート調査結果をもとに、国内ユーザー企業におけるクラウドインフラストラクチャのニーズ動向について集計/分析したもの。

 DockerコンテナとOpenStackの導入状況、仮想サーバー環境のオンプレミスからクラウドへの移行状況などについて分析を行っている。また、「2019年 国内コンテナソリューション市場動向」では、ソフトウェアベンダーとクラウドサービスプロバイダーのコンテナソリューションの動向を分析している。

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