サービス開発の背景とWindows 10 のアップデートにおける運用課題
Windows 10では、大型アップデートと呼ばれるFeature Update(FU)と従来の月次パッチに相当するQuality Update(QU)が提供されている。このうちQUは、累積更新プログラムとして毎月第2火曜日(日本では水曜日)に過去のアップデータも含めまとめて配信される。
これは、細かい個別のアップデータ(KB)を過去にさかのぼって適用する必要がなく、配信される最新のものを1回適用するだけのシンプルな運用を目指すものだという。しかし、毎月第2火曜日だけではなく第3・第4火曜日や火曜日以外にも累積更新が提供されることがある。
種別もセキュリティー更新プログラム(Security Update)や更新プログラム(Update)などの他、SSU(Servicing Stack Update)という累積更新の前提となるアップデータやMicrosoft .NET Framework、Adobe Flash Player、Microsoft Office(MSI)など、Windows 10をベースとしたもの以外のアップデータなどが提供されることもあり、実際の運用には何をどのような順番で当てるかという選別も必要になる。
そのため横河レンタ・リースは、自社開発製品である「Unifier Cast」に新機能として、①アップデータの自動選別機能の追加、②Office 365 ProPlus(C2R)への対応を行い、複雑なWindows 10の運用を行う管理者の負荷を低減するという。
「Unifier Cast」新機能の概要
・新機能①アップデータの自動選別機能
「Unifier Cast v.5.8.1」では、「すべて最新」「Security Updateのみ最新」「毎月第2火曜日のみ(WUfB:Windows Update for Business相当)」の3つのポリシーを定義し、適切なアップデータを自動で選別し、1つのパッケージとしてシンプルに運用することが可能になった。
管理者は、Windows 10のアップデートの体系に関して習熟する必要はなく、選別の必要もない。なお、Office(MSI)については、累積更新ではなくMicrosoftからは従来通りのKBでの提供になるが、「Unifier Cast v.5.8.1」ではOffice(MSI)も累積更新のように取り扱えるように独自のロジックを搭載している。
・新機能② Office 365 ProPlus(C2R)への対応
Office 365 ProPlusは、従来のインストール方式であるMSIからC2Rという新しいインストール方式に変わっている。このC2Rは、インターネットにあるOffice CDN(Contents Delivery Network)から最新のバイナリをストリーミングで直接取得するため、企業内で運用する場合には、ネットワーク帯域の枯渇とバージョン管理が課題になることがある。
これらの課題を解決するために、WSUS(Windows Server Update Service)で回避する方法もあるが、WSUSはC2Rに対応していない。そのため、企業ではSCCM(Microsoft System Center Configuration Manager)を導入・更新管理するかOffice 展開ツールを利用し、ファイルサーバーやWebサーバーをローカルソースとして、その企業専用のアップデータ配置場所を作ることで、インターネットから直接ダウンロードを抑止し、バージョンをコントロールする。
しかしこの場合では、ファイルサーバーやWebサーバーにアップデータを配置するという運用が発生する。拠点が分かれている場合は、拠点ごとに複数のファイルサーバーやWebサーバーを用意し運用する必要がある上に、PCの場所が変わった場合には設定を変更する必要がある。また、Windows 10のアップデートをWSUSなどで行っている場合、これらを別に用意、運用する必要がある。
そこで、「Unifier Cast v.5.8.1」では、独自開発のアップデート機構をOffice 365 ProPlusのC2Rに対応し、FUやQUのようにC2R形式のアップデータを小さなブロックに分割、PC間で共有することでネットワークに負荷をかけずにグループごとに企業が管理したバージョンを適用することが可能になった。