政府が積極的に旗振り役を務めたこともあり、国内企業ではテレワークや時短勤務、副業といった柔軟な働き方を実現するための各種制度の整備が着実に進んでいる。ただし、新しい働き方の浸透は効果をもたらす反面、新たな課題も生み出しつつある。
そこで、ITRでは、2019年6月、従業員数1,000人以上の大企業に正社員として勤務するデスクワーカーを対象にアンケート調査を実施し、働き方改革の効果とそれによって生じる課題についての意識を調査した(有効回答:413件)。
まず、働き方改革による効果の実感度を10項目について5段階で確認し、回答を指数化(*1)したところ、全体の平均指数は全項目ともプラス水準となり、とりわけテレワークを日常的に(週3時間以上)実施している人(テレワーク実施者)は、その実感度合いが極めて高いことが明らかとなった(図1)。
*1:大いに向上している=3点、やや向上している=1点、どちらともいえない=0点、やや低下している=-1点、大いに低下している=-3点として加重平均することにより算出
しかし、テレワーク実施者に対してその際に感じる課題を問うたところ、「オンライン会議環境の品質が低い」を筆頭に10項目中5項目について、「大いに感じる」または「たまに感じることがある」という回答者が過半数に上った(図2)。地理的に離れた業務環境において、コミュニケーション/コラボレーション環境にまつわることが依然として課題となっていることがうかがえる。
また、企業で採用されるケースが増えているフリーアドレスについては、フリーアドレス席で仕事をしている人は、固定席で仕事をしている人に比べて、他人の会話や雑音、視線、モノの動きなどの影響を受けやすいとの傾向も示された(図3)。
*2:大いに感じる=3点、たまに感じることがある=1点として加重平均することにより算出。
ホワイトペーパーでは、こうした調査結果に基づき、働き方改革が進展するなかで、チーム作業の根幹となる「コラボレーション」と、個人の生産性を左右する「集中力」の確保が、これからの「働き方改革2.0」の主要なテーマになるとしたうえで、課題解決のための選択肢について提言している。