デロイト トーマツ ベンチャーサポートは、「ネクスト・ノーマル社会構築に向けたDX推進の現状調査」と題した調査結果を、8月7日に発表した。本調査結果は、6月に実施した国内スタートアップ305社と国内大企業271社へのアンケートを基に分析したものとしている。
大企業のDXの進捗については、9割近くの大企業が自社のDXを加速させる必要があると回答した。さらに、これらの企業の7割以上がDX推進に課題や遅れがある、または、計画が立っていないと評価している。
さらに、大企業のDXの遅れはスタートアップからも指摘されている。本調査では約9割のスタートアップは、民間企業や官公庁・地方自治体と連携したDX推進に関心があると回答している。一方で、DX導入の準備が整っていると思う大企業の割合について、全体のうち57%のスタートアップが「4割未満」と回答した。
また、大企業がスタートアップ企業のサービスを活用したDX推進に際して、課題と感じる要素は「スタートアップ提供サービスの信頼性判断が困難」(51%)、「スタートアップサービスの目利き機能が十分でない」(47%)となり、スタートアップの供給能力、将来性、財務健全性といった項目を20ポイント超上回っている。スタートアップ自体よりもサービスそのものを判断することが難しく、目利きができないことがスタートアップと連携したDX推進の大きな課題であるとしている。
大企業のDX推進について、課題と感じる事項を確認したところ、「組織・従業員のデジタルリテラシーが低い」(49%)に次いで、「DX推進に向けたガバナンス・指揮系統が存在しない」(40%)、「DX計画・戦略が不在」(39%)、「レガシーシステムからの切り替えが難しい」(39%)という結果になった。変革が停滞する背景には、人材面、マネジメント面、技術面と多様な課題があることがうかがえるという。
デロイト トーマツ ベンチャーサポート 代表取締役社長の斎藤祐馬氏は、今回の調査結果について「大企業のDXの課題が多様である状況においては、それを打破するための戦略や計画、指揮命令系統といったリーダーシップに関する課題に着目すべきです。本格的にデジタルに強い若手を登用するなど大胆な突破口を検討することも必要です。このままでは大企業がコロナ禍の非接触型社会へのシフトにおいてもDX施策のスピードが追い付かなくなるリスクとともに、大企業がスタートアップのサービスのユーザーとなって日本経済の活性化を後押しする役割も果たせないでしょう」とコメントしている。