米現地時間2020年10月20日、ガートナーは、世界のCIO約2,000人を対象にした調査結果を発表した。この調査は、世界のCIOを対象に毎年実施しているという。
2021年CIOアジェンダ・サーベイでは、CIOがデジタル・ビジネスの加速と長期的な俊敏性の獲得の両方に成功するための4つの方法が示されている。
戦法を変える
デジタルなやりとりに対する顧客の期待が高まっており、サーベイに回答したCIOの76%が、2020年に新規デジタル・プロダクト/サービスへの需要が拡大すると回答した。2021年については、この割合がさらに増えるとしている(83%)。
アナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのラウゼル・ジョーンズ氏は、「CIOにとって重大な分岐点がやってきます。かつてのビジネスの進め方に戻ることはありません」と述べている。
増幅力を解き放つ
調査では、パンデミックの結果として企業のITリーダーシップにどのような変化があったかを尋ねたところ、CIOの約70%が、ビジネス部門に助言するため特定のビジネス・プロセスに関する知識を深めたと答えた。また、同じく約70%が、ITの価値の測定および明確化の取り組みを強化したとしている。
足かせを減らす
CIOが「足かせ」(たとえばサプライチェーンのパフォーマンス低下)を体系的に把握し排除することでデジタル化を加速させられることがわかった。多くのCIOがパンデミック中に売上高が減少したと回答したが、その回答率は、先進企業では29%にとどまったのに対し、平均的企業では45%、遅れた企業では62%だったという。
またCIOは、新規ビジネス・イニシアティブ、買収、コストの競争力、従業員の生産性の各領域でパフォーマンスが向上したと回答している(図1参照)。
リソースの投入先を変える
調査に回答したCIOは、2021年のIT予算の平均増減率を、2020年の2.8%から微減となる2%と予測している。デジタル・イノベーションへの資金拠出を増やしたと回答した割合は、先進企業では63%だったのに対し、平均的企業では52%だった。デジタル・イノベーションへの資金拠出を増やした場合、企業が遅れた企業ではなく先進企業になる可能性は2.7倍高くなるという。
CIOは引き続き、サイバーセキュリティ投資を優先
調査対象となったCIOの61%がサイバーセキュリティ/情報セキュリティへの投資を増やすと回答しており、これに僅差でビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス(58%)、クラウド・サービス/ソリューション(53%)が続く結果となった。
ラウゼル・ジョーンズ氏は次のように述べている。「2020年に成功を収めるということは、差し迫ったビジネス・ディスラプションに耐えられるよう事前に予測を立て、IT部門のみならず企業全体で適応力を強化することを意味すると、私は2019年に話しました。COVID-19のパンデミックは、企業に大打撃を与えました。CIOは、2020年に自社にもたらした機運を足掛かりに、より価値が高く、より戦略的なイニシアティブに継続的に関与する姿勢を2021年も取り続ける必要があります。CIOがビジネス部門のために良い仕事をしていけば、2021年も一層頼りにされるようになるでしょう」