「もう品質で悩まない!」と題し、9月6日、7日の二日間、ソフトウェアの品質向上の冠するさまざまなセッションや、論文の発表が行われた。
オープニングには、日科技連SQiPソフトウェア品質委員会の誉田直美副委員長が、これまでのソフトウェア生産管理研究委員会(SPC)の目的、方針について述べ、時代環境の変化にあわせるため今後、会の名称を「SQiP(Software Quality Profession:スキップ)」とすることを発表。
SQiPでは、現場で本当に使える実践的な方法論を確立することを目的に、グローバルな視野での活動を通してソフトウェア品質の向上と、日本のソフトウェア産業の国際競争力の強化に貢献していく。
続いて行われた、基調講演には、トヨタ自動車株式会社常務役員の重松崇氏が登壇。「組み込みソフトウェア開発におけるトヨタ自動車の挑戦」に関する発表を行った。
環境問題や交通事故に関して自動車メーカーとしてのトヨタの取り組みを紹介した後、カーエレクトロニクスの歴史を紹介し、自動車の進化とともに、組み込みソフトウェアの品質がより重要になっていく、と述べた。
また、自動車ソフトウェアの開発手法は、PCの歴史をなぞるように、コードベースから、コンポーネントベース、モデルベース、プラットフォームベース、と推移してきている。ただ、自動車に搭載されるソフトウェアは、ノイズなど厳しい外的環境に加え、期限内に処理を完了しない場合、車両の暴走や破壊など、重大な事態が発生する可能性も考慮する必要があるため、ハードリアルタイム性や高い品質要求が求められる。開発手法やアーキテクチャーの考え方は取り入れるにしても、バグがあれば直せばよい、というPC的な考え方が通用しない世界であり、品質の作りこみが非常に重視されている。
プラットフォームベース開発はすでにレクサスLS460で、ソフトプラットフォームの上に他社のコンポーネントが乗る形で実現。今後、標準OSとなる「車のWindows」を誰が作るのか、ですでに国際的な競争も始まっている。日本はJasPar、ヨーロッパではAUTOSARという団体が主体となり標準化を進めている。重松氏によれば、やみくもに敵対するのは避け、お互いの補完関係の中でできるかぎり協業していくとのことだ。
最後に人材開発の基本方針に触れ、「人材マネジメントシステム」の構築により、総合的な人材開発、活用を実現したい、とし、アーキテクチャ、プロセス、ビジネスモデルにおいても、さらなる変革に挑戦していきたいと、締めくくった。
その他、各会場で、ソフトウェア品質技術に関する各種セッションやディスカッションが行われていた。