MaaS Tech Japanは、これまで開発を進めてきた移動情報統合データ基盤(以下、MaaSデータ基盤「TraISARE」)のβ版の開発が完了し、MaaSデータ基盤「TraISARE」を活用したユースケースの一つとして交通データ×人流データによる混雑情報ダッシュボード「PeopleFrow」の公開を発表した。
MaaSデータ基盤「TraISARE」の概要
TraISAREは、各交通事業者が保有する運行データ、人流データなど移動関連データのシームレスな連携を実現するデータ基盤。モビリティ関連の多様な種類・形式のデータをリアルタイムに結びつけることで、これまでできなかったデータ活用を実現するという。
技術的特長
- 「マルチモーダル統合」の実現:公共交通やモビリティサービスのあらゆるデータをシームレスに統合・接続し、案内や分析で活用することができる
- 「リアルタイム活用」の実現:運行情報や需要データなどのリアルタイムデータを受け取って可視化・分析し、ユーザーや事業者のアクション策定に役立てられる
- 「解析の高度化」の実現:蓄積データの統計処理や機械学習分析、シミュレーションに基づいて計画やオペレーションの改善・最適化に活用できる
β版で取扱可能なデータ
TraISARE β版では、国内1万以上ある交通事業者が保有する様々なデータの取り扱いが可能だとしている。現在、交通事業者や自治体からデータを受け取り、それらデータを活用したソリューションの提供を行っているが、今後は、様々な企業と連携し、交通データ以外も含め、取り扱い可能なデータ種別を増やしていくという
活用イメージ
TraISAREのデータは、顧客向けのMaaSアプリ(交通アプリ、案内アプリ)や、交通事業者向け分析サービスなどとAPI連携することで活用できる。
PeopleFlowの概要
PeopleFlowは、以下2つの提供機能により、利用者が、今後どのような混雜が発生する可能性があるかの事前確認を行うことで、混雑を避けた安心・安全な移動の支援するとしている。
提供機能
平常時の混雑予測情報の提供(詳細の混雑予測情報の提供)
公共交通機関を利用する場合、混雜を避けたいと思っても、事前に将来の混雑情報を把握することが難しい状況にある。そこで、PeopleFlowは、期間中の任意の時間の、鉄道駅周辺エリアや混雑多発エリアの「混雜予測情報」を提供するという。
一般的な混雑情報は、人流データをスポット的な「位置情報」として扱い、その場所にどのくらいの人が滞在していたかをベースに提供されるが、TraISAREにより、人流データを「移動情報」として扱うことで、「どこからの流入が多いか」といった人の移動経路を加味した分析を行い、より精度の高い混雑状況の分析・予測情報を提供するとしている。
遅延時の混雑参考情報の提供(過去の類似日の混雑情報の提供)
公共交通機関で遅延が発生した場合、遅延によって突発的な駅やエリアの混雜が発生することが多くあるという。そこでPeopleFlowは、現在の鉄道の運行状況(遅延情報)と最も類似した過去の日時の混雑情報を参考情報として提供するとしている。
これまで、電車の遅延が生じた際などに「その運行情報を踏まえた」混雑情報を予め把握することはできなかったが、TraISAREにより、交通データと人流データを組みわせた分析・予測が可能となるため、運行情報を踏まえた混雑予測情報を提供するという。
今後、MaaS Tech Japanでは、都市・交通分野におけるモビリティデータの利活用を促進するため、TraISAREの開発をさらに進めるとともに、モビリティデータをもっている事業者、自治体を広く募り、TraISARE活用のユースケースを創出し、サービスの社会実装を進めていくとしている。
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