ジュニパーネットワークスは、人工知能(AI)に関するグローバル調査レポートを発表した。本調査では、企業のAIや機械学習の計画または導入に直接関与しているグローバルのITの意思決定者700人を対象とし、テクノロジーに対する姿勢、認識、懸念事項について調べている。
本調査では、北米や欧州の回答者よりもアジア太平洋地域(APAC)の回答者の方が、AIに対する信頼度が高く、AIが今後の生活においてますます大きな役割を果たすと考えていることが明らかになったという。主な調査結果として、APACの回答者の約99%が、日常業務、製品、サービスにAIを組み込むことによって自社がメリットを享受できると考えていることがわかったとしている。実際に、回答者の約42%が、業務上の意思決定の50%以上がAIにより行われている、もしくは今後行われる予定であると答えており、この割合は北米の回答者では23%にとどまっているという。
また、現在AIを最も活用している業務としては、カスタマーサービスが挙げられた。これがAIの幅広い受け入れと信頼度の高さにつながり、AIの導入が加速することにより、AI開発のスキルを有する従業員の需要が高まっているという。さらに、デジタル技術がAPACの企業や個人の活動に具体的なメリットをもたらしており、アジア地域の回答者(71%)は北米の回答者(54%)よりも将来的にAIと協働することを受け入れる傾向にあることがわかったとしている。
しかし、APACにおけるAIの導入と開発が急拡大している一方で、調査では以下の課題が明らかになったという。
- AI対応テクノロジースタック:企業全体で使用できるAIモデルとデータセットの開発が、技術関連の課題として上位に挙げられた。半数を超える経営者層(74%)が、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指してAIを強化するために、テレメトリデータを収集する可能性があると回答しており、データ、クラウド、ネットワークなどのより強力なインフラと、AIシステムを扱う人材が必要とされていることがわかった
- 従業員への取り組み:APACの回答者の48%が、自社がAIシステムを取り入れるために従業員の準備と拡充に苦労していると答えている。従業員がAIスキルを活用できるようにするツールや機会の提供が最優先課題であると同時に、従業員のスキルセットや採用の対象者を増やすための計画と指標の策定も重要であるという。その一方で、経営者層の回答者は、ツールを運用するエンドユーザーの教育よりも、AI機能を社内で開発するための人材確保が重要であると答えている
- AIガバナンス:APACの回答者の75%が、自社の経営者層が2021年度の戦略的計画の優先課題としてAIを挙げていると答えているという。また、経営者層の87%が、自社の製品やサービスにAIを取り入れるためには、部門を超えた経営者層によるサポートと関与が重要であると答えている。多くの回答者が認識しているにもかかわらず、AIの戦略やガバナンスを全社的に統括するAI責任者がいると答えた経営者層はわずか3%だったという。
AIには課題もある一方で、同社の調査では、既にAIを導入し活用している企業は具体的かつ有意義な成果を挙げていることが明らかになっているとしている。また、現在AIを活用している企業では、営業やマーケティングだけでなく財務や経理の分野でも、業務効率の向上やユーザーエクスペリエンスの強化が見られることもわかったという。さらに、企業がAIの機能を拡張し、従業員がそれを活用することで、ユーザーの満足度が着実に向上し、従業員は節約された時間でこれまで取り組めなかった付加価値のあるタスクに専念できるようになることも示されている。
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