ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は、日本におけるデータ利活用の現状に関する調査結果を発表した。
同社が昨年11月に実施した調査においてデータ利活用について尋ねたところ、回答者の60%超はデータ利活用に対して課題意識をもっており、そのうち20%超が組織全体の課題(経営課題)として認識していることがわかったという。日本企業のデータ利活用に対する意識や関心は高いことが浮き彫りになったとしている。
一方、同調査でビジネス成果の獲得についても尋ねたところ、成果を「十分に得ている」もしくは「ある程度得ている」という回答の割合は、2018年以降3年間の推移を見ても一進一退で、大きな変化はなかった。これらの結果から、組織においてデータ利活用への意識や関心は高いものの、それによるビジネス成果は年々増えているとは言えない状況が見て取れるという。
主な成功要因は十分なデータや環境、分析スキル
本調査では、ビジネス成果獲得の成功要因と阻害要因を、選択式でそれぞれ3つ尋ねている。成功要因として最も多く挙げられたのは「活用できるデータの種類・量・品質」(59%)だったとしている(図1参照)。
アナリストでディレクターの一志達也氏は、「『活動できるデータの種類・量・品質』が成功要因として最も多く挙げられたのは順当と言えます。データを利活用してビジネス成果を得たくても、肝心のデータや利活用できる環境がなかったり、不備が多かったりするのでは取り組みようがありません。また、データを分析するスキルを備えた人材がいなければ、ビジネス成果を得るには至らないことから、『データ分析のスキル』『ビジネス部門の理解や協力』を挙げる回答者が多かったことも違和感のない結果と言えるでしょう」と述べている。
主な阻害要因はスキル、人員、データ・リテラシーの不足
阻害要因としては「スキルや人員の不足」と並び、「データ・リテラシーの不足」が挙げらたという。グローバルで実施した調査でも、データ・リテラシーは成功の阻害要因として挙げられており、データ・ドリブンな組織文化を根付かせるためにも、データ・リテラシー向上への投資は優先すべきとしている(図2参照)。
一志達也氏のコメント
今回の調査では、データ・リテラシーが成功要因であるという回答は多くありません。このことから、分析スキルは成功要因として上位に挙げられ、成功に貢献すると認識されている一方で、データ・リテラシーはそのように認識されていないことが見て取れます。データ・リテラシーの向上を目指すに当たっては、企業はまず組織全体のリテラシーがどうあるべきか(目指すレベルや目的)を明らかにして戦略的に取り組むことが重要です。継続的にリテラシーを測定し、データ利活用によるビジネス成果との相関を調べれば、自ずと成功に貢献しているかどうかがわかります。初期段階からスキルやリテラシーの大幅な向上を目指すのではなく、一部の人員のみに専門的な分析スキルを先行的に獲得させることを目指すのがよいでしょう。その後、育成した人員でカバーできる範囲に分析対象を絞り、経験を積みながら、人員の拡充も含めて取り組みを拡大(横展開)させていくべきです」とコメントしている。
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