パロアルトネットワークスは、クラウド領域の意思決定者および実務従事者を対象に実施した「クラウドネイティブセキュリティジャパンサーベイ 2021年版」の調査結果を発表した。
ワークロードのクラウド移行は加速も、クラウドへの戦略的投資には消極的
本調査において、国内企業のパブリッククラウド上で稼働するワークロードの割合平均は43%であり、海外企業の平均である46%と比べて遜色がない結果になったという。また、国内企業の今後2年間におけるクラウド上でのワークロードの割合予測は平均60%となり、本調査では今後もクラウド移行は加速していくと予測している。
一方で、国内企業のクラウドに対する投資額は、50億円未満が73%と大半を占め、年間売上が1,000億円未満の企業にいたっては、10億円未満が74%にのぼるとしている。
これには、クラウドに対する投資を「戦略的投資」ではなく「コスト」としてみなしている企業の存在が考えられるとし、クラウドをビジネス上の戦略的リソースとして位置づけられるかが国内企業の課題だという。
国内でマルチクラウドシフト進行、コンピューティングオプションの分散も加速予想
本調査によれば、国内企業はIaaSプラットフォームとして、平均で2つのクラウドサービス事業者のサービス(以下、CSP)を利用。複数のCSPを活用している企業は59%となり、単一のCSPを活用するシングルクラウドからマルチクラウドへのシフトが国内でも進んでいるとしている。
国内企業が活用するクラウドのコンピューティングオプション比率においては、仮想マシンが47%と半数を占め、他の選択肢の比率は低かったという。しかし、今後2年間の各コンピューティングオプションの活用度合については、それぞれ90%以上の国内企業が変わらないか増加すると答えていることから、多様なコンピューティングリソースでのクラウド活用が加速していくだろうとしている。
国内企業の53%がクラウド環境でのセキュリティ確保に課題
調査の中で、ワークロードのクラウド移行にあたり、国内企業の85%が組織や技術、プロセスにおいて課題を抱えていたという。中でも最大の課題は、53%と過半数の企業が挙げた「包括的なセキュリティの確保」であり、後に「技術的な複雑性(29%)」、「コンプライアンス(27%)」が続いたとしている。
また、クラウド環境でのセキュリティ上の課題としては、「クラウドアプリケーションに存在する脆弱性の可視性の欠如(27%)」が最も多く、「セキュリティ予算の確保(13%)」、「反復的なセキュリティ対応の自動化(13%)」が続いたという。
さらに、セキュリティベンダーに求める絶対的な要件を聞いたところ、「マルチクラウド/ハイブリッドクラウド対応」が43%を占め、「プライベートクラウド/パブリッククラウド対応」が36%だったとしている。
【関連記事】
・Google CloudとSAP、基幹業務システムのクラウド移行などで戦略的提携を拡大
・IBM、デルタ航空とのパブリッククラウド移行支援の複数年契約を発表
・TIS、運用自動化で企業のクラウドシフトを実現する「次世代統合運用管理基盤」を提供開始