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日本IBM、10年間にわたる量子コンピューティング実装の道程を示す

 9月21日、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、「The Quantum Decade 日本語版」の公開にともなう記者説明会を開催した。

 本レポートは、どのようにして量子コンピューティング技術をビジネスへとつなげていくのかをメインに、グローバルで先行して英語版として発行されていたものを日本語に翻訳、公開したものだという。同戦略コンサルティング アソシエイト・パートナー 兼 Quantum Industry & Technical Service Japan Leadを務める西林泰如氏は、「極めて重要なのは、量子コンピューティング技術を捉えていくこと、そして現在地を適切に認識することです。本レポートでは、同技術を活用した際のビジネス価値、優位性を追求していくための道筋をガイドするような構成になっており、様々な業界、金融や医療、ヘルスケア、航空など業界毎の具体的な内容も示しています」と説明する。

日本IBM 戦略コンサルティング アソシエイト・パートナー 兼 Quantum Industry & Technical Service Japan Lead 西林泰如氏
日本IBM 戦略コンサルティング アソシエイト・パートナー 兼
Quantum Industry & Technical Service Japan Lead 西林泰如氏

 本説明会の冒頭では、今後10年間を見通したときに、現在ターニングポイントに位置していると同氏は指摘。量子コンピューティング技術を活用した優位性(クオンタムアドバンテージ)を構築するためには、将来に対する備えとして産官学が一体となり準備を進めていくことが必要だとした。そのためには、量子コンピューティング単体ではなく既存技術やシステムと組み合わせること、とりわけ下記3つの要素が相互補完するような三位一体となった状態で推進することで、革新的な未来が実現できるとしている。

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 また、実際にビジネスや社会における複雑な問題に対して解決策を導き出していくことを見据えたとき、今後10年間で「指数関数的に難解になる問題」「量子コンピューティング技術のパラダイムシフト」「量子エコシステム」といった下記3要素が重要になるという。

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 西林氏は、「今から量子コンピューティングに投資することで、複利のような形で莫大な効果が指数関数的にもたらされ、業界の構造やビジネスモデルに転換をもたらす時代がくるのではないかと考えています。優位性を発揮するためには、既存システムを量子コンピューティングに置き換えるという考えではなく、シナジーを重視した活用こそが、より早期に効果を発揮するためには重要な観点になります」と述べる。

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 さらに同社では、量子コンピューティング活用を推進するためのサービス・ビジネス開発部門「Quantum Industry & Technical Services(以下、QI&TS)」において、量子コンピューティング活用のための新たなオファリングや、先端技術活用のためのコンサルティング・サービスなどを提供することも発表した。

日本IBM 戦略コンサルティング シニア・マネージング・コンサルタント 兼 IBM Quantum Industry & Technical Services Japan Subleader 橋本光弘氏

日本IBM 戦略コンサルティング シニア・マネージング・コンサルタント 兼
IBM Quantum Industry & Technical Services Japan Subleader 橋本光弘氏

 同戦略コンサルティング シニア・マネージング・コンサルタント 兼 IBM Quantum Industry & Technical Services Japan Subleaderの橋本光弘氏は、「量子コンピューティング技術は、一部の研究者やアカデミアなどで取り上げられてきましたが、同技術を活用した優位性、ビジネス価値を考えることが重要になってきています。QI&TSでは、ワンチームとして戦略策定から各種トレーニング、ユースケースの共同開発などを提供することが可能です」と述べた。

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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