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日本企業、業務プロセスのデジタル化が課題か――ガートナー調査

 ガートナージャパンは、世界のCIOとテクノロジ・エグゼクティブを対象に実施した「2022年CIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイ」の結果を発表した。世界85カ国の2,387人(うち日本は212人)から回答を得たという。

 同調査では、コンポーザブル・ビジネスの3つの領域の活用度に応じて、CIOが属する企業を3つのビジネス・コンポーザビリティ・レベル(低い、中程度、高い)に分類。日本企業の回答全体と、ビジネス・コンポーザビリティが高い世界の企業の回答を比較することで得られた主な洞察は以下の通りだという。なお、ビジネス・コンポーザビリティとは、ビジネス情勢の変化を企業が察知して即応できるようにするマインドセット、プラクティス、ツールを組み立てる能力のことだとしている。

日本企業のビジネス・コンポーザビリティは世界全体の平均より低い
「競合他社と比べて自社の競争優位性が高い」と評価する割合も世界平均を大きく下回る

 ビジネス・コンポーザビリティが高い企業は、思考法(シンキング)、ビジネス・アーキテクチャ、テクノロジーのコンポーザビリティを全方位で実践しており、高いビジネス・パフォーマンスを実現していることが明らかだったという。全社的なビジネス・パフォーマンス、売上/賃金提供の増加、ビジネス・リスクの軽減、運営コストの削減の4項目に対する自社のパフォーマンスへの評価を尋ねたところ、ビジネス・コンポーザビリティが高い企業ほど、自社のビジネス・パフォーマンスが同業や競合他社と比較して高い (「先行している」または「大幅に先行している」)と回答した割合が多かった。一方、日本企業は全体として、世界のビジネス・コンポーザビリティが低い企業と同程度で、改善の余地も大きいとしている。

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 また、ビジネス・コンポーザビリティが高い企業は、デジタル由来の売り上げの割合やデジタル化によって最適化した企業プロセスの割合も多かったという。

バイス プレジデントでガートナー フェローの藤原恒夫氏のコメント

 日本企業、特にグローバルで事業を展開している企業はまず、業務プロセスのデジタル化を加速した上で、デジタル・ビジネスを増やし、グローバル市場での競争力を維持することが重要です。ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)などのテクノロジの活用による社内ビジネス・プロセスの標準化と自動化、印紙廃止と複雑な手作業のワークフローの簡素化によるペーパレス化とタッチレス化、会議/人事考課/契約締結でのオンライン・チャネルの採用も、この一環です。日本社会には対面でのやりとりを重んじる文化があり、変化を嫌いますが、デジタル化を加速しないとビジネスの効率とグローバルな成長が犠牲になるでしょう。

2022年の日本企業のIT予算増加率は世界企業平均よりも高いが、投資を増やすテクノロジーのバランスを再検討する必要がある

 同調査では、IT予算の伸び率、各テクノロジー領域に対する投資意欲についても尋ねたという。日本企業のCIOとテクノロジ・エグゼクティブは、2022年のIT予算の平均増加率を4.3%と予測しているが、世界の回答者の平均は3.6%で、ビジネス・コンポーザビリティが高い企業でも4.2%だったとしている。

 各テクノロジ領域への投資意欲については、世界のCIOは、サイバーセキュリティ/情報セキュリティ(66%)、ビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス(51%)、クラウド・プラットフォーム(48%)の順で投資を増やすと回答。一方、日本企業のCIOの優先順位は、サイバーセキュリティ/情報セキュリティ(62%)、レガシー・アプリケーション近代化(47%)、クラウド・プラットフォーム (44%)の順だったとしている。

 世界のCIOは新型コロナウイルス感染症のパンデミック後のニーズに対応する中で、より先を見越してテクノロジー投資のバランスを見直そうとしているという。

藤原氏のコメント

 日本企業も、先を見越してテクノロジー投資のバランスを再検討し、レガシー・アプリケーション、インフラストラクチャ、データセンター・テクノロジーへの支出削減に努めるべきです。リソースが解放されることで、より新しいビジネス・ケイパビリティやデジタル化への投資を増やせることにつながり、非効率な社内業務も減り、デジタル・ビジネスの成長も加速します。

ビジネス・コンポーザビリティが高い企業は先進テクノロジーへの投資の割合も高い

 同調査では、ビジネス・コンポーザビリティが高い世界の企業は、先進テクノロジーを導入している割合が高いことも明らかになったという。

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藤原氏のコメント

 日本企業は、ビジネス・コンポーザビリティを使いこなすことで、不安定な時代やその先に提供するビジネス価値を最大化し、世界の先行企業と同様に高い成果を得られます。日本企業は、自社のビジネス戦略にとって妥当であれば、先進テクノロジーの導入を積極的に検討すべきです。

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