ソフトバンクは、米Sandbox AQと日本での共同実証実験に関するパートナーシップ契約を締結した。両社は耐量子計算機暗号(以下、PQC:Post Quantum Cryptography)を使用したVPNなどの実用化を目指すという。
現在は、公開鍵暗号(RSA暗号や楕円曲線暗号)などを用いて通信内容を秘匿しているが、今後、量子コンピュータによって瞬時に解読される可能性があるという。PQCは、秘匿だけでなく認証(デジタル署名)にも適用でき、ソフトウェアで実装できるため、インターネットとの親和性が高い。スマートフォンやタブレットなど、既存の通信デバイス上での利用が想定されているという。
ソフトバンクは同契約により、米国国立標準技術研究所(以下、NIST)が推進する「耐量子計算機暗号標準化プロジェクト」でラウンド3の最終候補と代替候補に選定されたPQCアルゴリズムを使用した検証が行える。同社は、2022年夏までに、5G、4G、Wi-Fiなどの様々なネットワーク上でPQCアルゴリズムを動作させ、ネットワーク、マシン、ユーザーそれぞれの観点から性能を評価・検証していくとしている。
なお、NISTはPQCとして採用する暗号アルゴリズムを2024年に決定するという。
【関連記事】
・IBM Cloudに耐量子暗号サービスなど新機能を追加 未来の脅威に備える
・東芝アメリカ、JPモルガン・チェースらと金融アプリで量子暗号通信の実用性を確認 米国初
・野村HDと野村證券、NICT、東芝、NECの5者が量子暗号技術を用いた検証実験に成功