2023年6月9日、イトーキは「デジタルソリューション&プロダクト記者説明会」を開催した。
同社は創業133年目を迎える中で、「ITOKI Smart Office Concept」としてオフィス家具から空間設計、働き方のコンサルティング(ABW:Activity Based Working)といった既存事業に加え、働き方に主軸をおいたオフィスDX事業を推進。従来一般的であった効率だけを追求するようなオフィスではなく、イノベーションを生み出すためのオフィスが求められている中で、「Tech×Design」をキーワードとして“オフィス3.0”の世界観実現を目指しているという。
これにともない、2023年の新製品では「共働:ハイブリットワークで離れた人々がいかに一体感をもてるか」「共創:足を運びたくなりコラボレーションが生まれるオフィスの在り方」「共生:サステナビリティを追求した持続可能なワークプレイスの実現」の3つをコンセプトに据えている。アフターコロナの様相を呈している状況下、特に“働く場所”と働き方が重要視されているとして、同社常務執行役員 スマートオフィス商品開発本部長の長尾和芳氏は、「『自己編集型ワークスタイル』を実現できるオフィスをいかに提供できるか。働き方がどんどんと変わる中でオフィスもアジャイルに変化する必要があり、データによる可視化が必要になる」と述べる。
また、同社が首都圏2,000人のオフィスワーカーに実施した調査結果によると、依然として会議形態として“Web会議が8割に上る”という回答が得られているという。「相手の様子がわからなかったり、雑音が気になったりというWeb会議特有の不満が聞こえている」と同社スマートオフィス商品開発本部 副本部長 プロダクト開発統括部 統括部長の羽柴千明氏。そこで下図左のような一般的な会議室に対して、ディスプレイを大画面かつ2画面化し、カメラを目線の高さに設定したような“ヨコ型”のオフィス(下図右)が有効だとして「Panora」という新製品を投入。前述したような不満解消につながり、Webからの参加者と現地参加者が一体感をもって会議を進められるとした。
さらに「オフィスの木質化」にも注力するとして、木材によるCO2吸収の面などでサステナビリティを確保した「FEELS」「solmio」をラインナップに追加。スチールパーティションを木質化した、木製のフレームワークに囲まれた自然な空間を実現しているという。
こうしたオフィス家具によるアプローチに加えて、データを活用したアジャイルなオフィス実現のためのサービスについて、イトーキ 執行役員 スマートオフィス商品開発本部 ソリューション開発統括部 統括部長 八木佳子氏は、「オフィスの中ではたくさんのデータが発生しており、それらを集めて新しい価値に変えようという試みをしている」と紹介する。下図のようなデータを統合していく中で、既にローンチしているヒトに関する生産性データ、活動データ、稼働データを集約する「Performance Trail」「Workers Trail」というサービスに加えて、オフィスレイアウトデータに関する「ITOKI OFFICE A/BI」を新しく提供していく。
新サービスとなる「ITOKI OFFICE A/BI」では、集約したデータをオフィス空間上に可視化でき、リアルタイムで音を測定して会話が盛り上がっているかを表示したり、どのように移動しているのかなどを確認することができるという。データを蓄積することで、パフォーマンスが高い従業員がどこにいたのか、人間関係が上手くいっている従業員はどこにいるのか、あるいは特定の世代や性別の人がどのような行動をしているのかなどを可視化できるとした。
なお、同サービスは2024年始めのローンチを目指しており、蓄積されたデータに基づき、有効な打ち手を提言できるようなソリューション提供も検討しているという。
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