NECは、顧客に合わせてカスタマイズ可能な生成AIを開発し、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)のライセンスから日本市場のニーズに合わせた専用ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングサービスなどを提供する「NEC Generative AI Service」を、7月から順次提供開始する。
また、NECの知見と顧客のナレッジを連携させ、モデル作成や、LLM活用のためのソフトウェア整備、組織立ち上げなどを包括的に支援するプログラム「NEC Generative AI Advanced Customer Program」を約10の企業・大学と共に立ち上げたという。言語モデルのカスタマイズ、業務アプリケーション開発、環境整備、人材育成などの包括的支援と、参加企業同士の交流を促進するプログラムだとしている。
NECは5月から生成AIの社内業務利用を開始し、社員が安全・安心に使える体制と仕組みを2週間で構築。その結果、資料作成の時間を50%削減、議事録作成の時間を平均30分から約5分に短縮、また社内システム開発におけるソースコード作成業務の効率化で工数80%の削減などの成果も出始めているとのことだ。
同社が開発したLLMの特長は、業務で求められる知識量および文書読解力をもつ日本語能力と、モデルサイズがコンパクトであることだという。
また、顧客業務にLLMを組み込みやすくするためのソフトウェア「NEC Generative AI Framework」の提供も行うという。LLMは「Microsoft Azure OpenAI Service」やNECが開発したものをニーズに合わせて提供する。機密情報を扱う顧客向けにオンプレミスなどセキュアな環境もクラウドサービスと共に提供するとしている。
なお、同社はAIのプロフェッショナルで構成される専門組織「NEC Generative AI Hub」をCDO直下に7月1日付で新設。生成AI関連事業において、今後3年間で約500億円の売上を目指すとしている。
NEC Corporate EVP 兼 CDOの吉崎敏文氏のコメント
Generative AIがもたらす変化は計り知れず、これまで活用しきれていなかった知恵の再構築が進んでいきます。NECは、これを成長の機会ととらえ、お客様のビジネス変革に貢献すべく、NEC Generative AI Serviceをリリースします。これは、長年培ってきたAIのノウハウに基づく国産Generative AI環境と、戦略協業関係にあるMicrosoft社のAzure OpenAI Serviceを組み合わせることで、セキュアで安全・安心な環境を提供するものです。
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