2023年9月28日、大日本印刷(以下、DNP)は「組織連携コース メタバース演習」を発表した。なお、同サービスは2023年11月に提供予定である。
「組織連携コース メタバース演習」は、サイバー脅威が増大している状況を踏まえて開発されており、「経営層自らがサイバーセキュリティ対策の重要性を認識することが重要である」とDNP 常務執行役員 金沢貴人氏は述べる。XRコミュニケーション事業を中期経営計画で掲げており、これまで培ってきた映像技術などが活用されているという。
DNPでは、印刷事業や北海道コカ・コーラボトリングにおける飲料事業などにおいて情報セキュリティ対策に取り組んでおり、サイバー脅威が巧妙化する中で「サイバーナレッジアカデミー」という教育コースも設立。イスラエル エアロスペース インダストリーズ社(IAI)製の訓練システムを活用した仮想環境上での訓練サービスも提供している。同サービスでは大きく「セキュリティ担当者」「経営層・一般従業員」「組織連携」と対象を区切っており、今回発表された「組織連携コース メタバース演習」は机上演習として前述した対象層すべてが対象になるという。
同社 ABセンター サイバーセキュリティ事業開発ユニット ユニット長 谷建志氏は、「既に侵入されていることを前提とした対策を打たなければならず、緊急対応時の机上演習への引き合いが非常に増えている」と話す。
経営層がサイバーセキュリティ対策の予算化を理解してくれなかったり、事業部門がサイバー対策ポリシーを渋ったりという声が情報システム、セキュリティ担当者から聞こえてくるとして、防災訓練同様に実際に行動・経験してみなければ自分事化しにくいとする。
「組織連携コース メタバース演習」では、4名1組となって複数部門間の情報連携を約2時間で体験。設問に対する最適解をメタバース空間で見つけながら回答していく個人演習から始まり、チーム演習に移る。なお、演習シナリオについては、サイバーディフェンス研究所 専務理事 上級分析官/サイバーナレッジアカデミー セキュリティ技術顧問である名和利男氏が監修しており、「メタバースという没入感がある空間でサイバー演習ができることが重要であり、場所や時間を選ばないところも有益である」とコメントを寄せる。
場所の制約を受けないため実施会場や道具の準備だけでなく、運営者の準備も不要になることで実施に係わる負荷を軽減できるため気軽に演習を実施できると、DNP ABセンター サイバーセキュリティ事業開発ユニット マーケティング&プロモーショングループ リーダー 田中健太郎氏は話す。
メタバース空間にあるオフィス内で必要な資料を探すような体験を通すことで、会議室で実施した場合と比較しても参加者が自社におけるイメージを膨らましやすいという。