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日本企業の“丸投げ体質”に警鐘、全社のデジタル・リテラシー向上が喫緊の課題に【ガートナー提言】

 ガートナージャパン(以下、Gartner)は、アプリケーション変革を進めるには、丸投げ体質からの脱却が必要であるとの提言を発表した。

 ソフトウェア開発やパッケージ・アプリケーションの導入をタイムリーに提供・強化するため、一部の作業の内製化を進めたいと考える企業は多い。また、顧客と接するデジタル・チャネルの増加や要望の多様化に伴い、カスタマー・エクスペリエンス(CX)を巡る要件も複雑化し、多種多様な顧客関連テクノロジが必要とされるようになっているという。これらに応えるために、ビジネス部門の従業員のデジタル・リテラシーを向上させることが喫緊の課題になっているとしている。

 同社のバイス プレジデント アナリストである本好宏次氏は、次のように述べている。

 「新しいプラクティスやテクノロジを採用し、根付かせる上で大きな障害となるのは、人のマインドセットが変わらないことであり、これはアプリケーション開発の内製化やCXの向上といった変革施策に取り組む企業の多くが挙げる課題です。中でも深刻なのが、いわゆる丸投げ体質です」

 アプリケーション分野における丸投げ体質は、「やりたいことを伝えるだけ」という発注側の姿勢と「依頼されたことをやるだけ」という受注側の姿勢が、ビジネス部門からIT部門、そしてIT部門から外部委託先へと連鎖する形で現れているという。CXの向上のように部門横断的な推進が重要な施策において、特定部門の要件を実現するためにこの体質が顕在化すると、連携の取れていない個別最適なアプリケーションが乱立するという事態にもつながりかねないとしている。

 また、エンドユーザーよる市民開発やDXといった、ビジネス部門の主体性が求められる施策の推進においても、テクノロジやデジタル・ツールに関する従業員のリテラシー教育ですら、現場のニーズを十分に擦り合わせることなく、IT部門に丸投げされている状況も散見されるという。

 日本企業のアプリケーションやソフトウェア・エンジニアリングに関わるリーダーは、丸投げ体質を転換し、率先して自らのマインドセットを見直しつつ、ビジネス部門と価値を共創するための体制を構築する必要があるとしている。

パッケージ・アプリケーションのカスタマイズが増える要因

 同社が2023年6月に国内の組織を対象に実施した調査では、ERPパッケージのカスタマイズ率を20%未満に抑えている企業は33%で、27%が過半数の機能にカスタマイズを行っていることが明らかになっているという。過度なカスタマイズを行う企業では、運用コストの高止まり、バージョンアップ時の負担の増大など、カスタマイズに起因する課題に頭を悩ませているという。

 カスタマイズが増える要因には、ビジネス部門はIT部門に、そしてIT部門は外部委託先に、現行業務や機能の再現などの要求をそっくりそのまま任せてしまう、いわゆる丸投げの姿勢があるとGartnerは推察している。

 近年は、ビジネス変化に即応するために、簡易的な機能拡張などのパッケージ・アプリケーション開発の一部工程で内製化に挑戦する動きが見られるが、丸投げ体質を改めないまま内製化を進めると、統制の取れないカスタマイズや機能拡張が繰り返され、技術的負債が積み上がる恐れもあるとしている。

 本好氏は次のように述べている。

 「従来の丸投げ体質を転換し、ビジネスとITのメンバーが共に課題解決に取り組む体制を構築できる企業では、カスタマイズを減らすことでパッケージ・アプリケーションの利用コストを抑えつつ、タイムリーに新機能を活用してビジネス価値を実現しやすくなります。そのためには、ビジネス部門とIT部門のフュージョン・チームを編成し、プロダクト・オーナーを担うことができるビジネス人材の育成を推進することが重要になります」

 2027年にかけて、ERPをはじめとするパッケージ・アプリケーション導入の内製化において丸投げ体質から脱却した企業は、カスタマイズを20%未満に抑えることができるとGartnerは推測している。

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