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【AWS Summit開催】Anthropic、ソニーGが登壇、「Claude」「Enterprise LLM」生成AI活用の最前線を紹介

 6月20日(木)、21日(金)の2日間にわたり「AWS Summit Japan」が幕張メッセで開催されている。初日のキーノートでは、Amazon.com CTOのヴァーナー ボーガス(Werner Vogels)氏、Anthropic共同創設者のジャレッド・カプラン(Jared Kaplan)氏、ソニーグループCDO兼CIOの小寺 剛氏といったスピーカーが登壇し、AIの最新動向や企業での活用事例について語った。

(左より)Amazon.com CTO ヴァーナー・ボーガス氏/Anthropic共同創設者 ジャレッド・カプラン氏/ソニーグループCDO兼CIO 小寺剛氏
(左より)Amazon.com CTO ヴァーナー・ボーガス氏/Anthropic共同創設者 ジャレッド・カプラン氏/ソニーグループCDO兼CIO 小寺 剛氏

AWS ボーガス博士、AIの歴史と未来語る

Amazon.com CTO ヴァーナー・ボーガス氏

 Amazon.com CTOのヴァーナー・ボーガス氏は、AIの長い歴史を振り返りつつ、現在のAI技術の発展と未来への期待について語った。

 「人間の思考を究明するというAIの発想は約2500年前のプラトンの時代までさかのぼります。1956年には『人工知能』という言葉が生まれ、エキスパートシステムなどの開発が始まりました。その後、ディープラーニングなどの技術が登場し、現在のAIブームにつながっています」とボーガス氏。

 一方で、「これらの技術は最後のステップではなく、むしろ驚くべき未来への最初の一歩に過ぎない」と述べ、今後のAI技術のさらなる進化に期待を示した。そして、「今日できることに注目し、世界の困難な問題解決に技術を活用することが重要」と強調。人口増加に伴う食糧問題や医療の確保など、喫緊の課題解決にAIを役立てる必要性を訴えた。

 「データへの民主的なアクセスを確保し、優れた人材が善のためにAIを使うことが不可欠です。うまく機能する技術は、やがてAIとは呼ばれなくなるでしょう」。ボーガス氏はこう締めくくり、AIの実用化と社会実装の重要性を示唆した。

Anthropicカプラン氏:「Claude」は、倫理と性能の両立を追求

Anthropic共同創設者 ジャレッド・カプラン氏

 この日に注目されたのは、AIスタートアップ「Anthropic」の共同創設者、ジャレッド・カプラン氏だ。同社は高性能かつ倫理的なAIの開発を行う中で「Constitutional AI」(憲法AI)を提唱している。

 「より多くの計算能力を投入することで、AIの知性は予測可能な形で向上します。これがAIのスケーリング則です」とカプラン氏。ハードウェアとアルゴリズムの進歩により、大規模言語モデルの学習が可能になったと説明する。

 一方で、AnthropicではAIの「安全性」を追求することが重要だと考えている。そこで生まれたのが「Constitutional AI」だ。これは、厳格な倫理原則に従うようAIを訓練する手法である。たとえば同社のAIアシスタント「Claude」は、有害なコンテンツ生成を抑制し、ユーザーのプライバシーを厳守するよう学習済みだ。

 「Anthropicは業界に先駆けて『責任あるスケーリング方針』を打ち出しました。AIの能力向上と、安全性・倫理性のバランスを大切にしています」(カプラン氏)

 また、Claudeの高い性能にも注目が集まっている。昨年リリースされた初期バージョンは、競合他社と同等以上の性能を、より少ないコンピュータリソースで実現。そして今年リリースされた「Claude 3」は、知的能力においてトップクラスのモデルだという。 ユーザーのニーズに応じて選べるよう、Claude3にはインテリジェンス、スピード、コストのバランスが異なる3つのバージョン(Opus/Sonnet/Haiku)が用意されている点も特長だ。

 Anthropicは並行して「AIの解釈可能性」の研究にも注力している。AIの内部推論プロセスを理解することで、システムの透明性を高め、人間との信頼関係を築くことが狙いだ。

 カプラン氏は「AIモデルは急速に賢く、速く、安価になっています。ビジネスでは、現在可能なことだけでなく、将来を見据えたソリューション開発が重要になるでしょう」と語り、聴衆に新たな示唆を与えた。

ソニーG 小寺氏:全社18,000人のためのAI活用

ソニーグループCDO兼CIO 小寺 剛氏

 ソニーグループのCDO兼CIO、小寺剛氏は、クリエイティビティとテクノロジーの融合を目指す同社のAI活用について語った。

 「ソニーは以前からゲームのレーシングAIや不正検知など、様々な領域でAIを活用してきました。生成AIにより、お客様やクリエイターに新たな価値を提供したいと考えています」と小寺氏。

 社内でのAI活用を促進するため、ソニーグループでは全社員向けの生成AIツール「Enterprise LLM」を内製開発・導入した。「日米だけで18,000人以上が利用し、業務効率化や新規アイデア創出に役立てています。体験を通じて生成AIのメリットとリスクを学ぶことができます」(小寺氏)

 Enterprise LLMは、外部の言語モデル(LLM)を組み合わせた独自システムだ。社内データを保護しつつ、大規模LLMの能力を活用可能にしている。

 今後は全世界の拠点に展開するとともに、ソニーグループの製品・サービスへのAI活用も推進する方針だ。ゲームのNPCの高度化や、映像制作の効率化などへの応用に期待が高まる。

 小寺氏は「クリエイティビティを最大限に引き出すためにAIの可能性に向き合う。お客様やクリエイターとのエンゲージメント強化に役立てていきたい」と意欲を見せた。

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、EnterpriseZineをメインにした取材編集活動、フリーランスとして企業のWeb記事作成、企業出版の支援などもおこなっている。 ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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