米国SAS Institute(以下SAS)は、クラウドベースのインテリジェント意思決定ソリューション「SAS Decision Builder」のプライベート・プレビューを、Microsoft Fabric上で開始した。
同ソリューションは、ユーザーがモデルと意思決定を設計、統合、配置できるようにすることで、アナリティクスのライフサイクルを効率化する、Microsoft Fabricの新たなワークロードだと同社は述べている。Microsoft Fabric OneLakeからデータへ容易にアクセスできるため、ユーザーが意思決定のテスト、修正、実行すべてをFabricの環境内で行うことができ、変化する市場への対応や特定のビジネスニーズに応えることを可能にするとしている。
ネイティブ統合でシームレスな体験を推進
ビジネスアナリストやドメイン エキスパートは、ローコードエディタでビジネスロジックの設計が行えるようになり、機械学習や大規模言語モデル(LLM)を活用して意思決定ライフサイクルを簡単に管理、完結できるようになるという。このソリューションは、Fabricの機械学習機能を融合し、ユーザーは既存のモデル構築パイプラインを活用して実行可能な意思決定を行うことが可能に。また、同ソリューションのガバナンス機能は、ルールがどのように開発されたかを明確に可視化することで、ユーザーはデータフローを追跡して、意思決定に至った経緯を正確に把握できるとしている。
AIを活用した分析で顧客の業績改善に貢献
今回の統合は、Azure AIサービスにまでおよび、SASの意思決定インテリジェンスが、意思決定フローの中で直接LLMなど主要な生成AIの構成要素をサポートするという。ユーザーはデータプールを拡大してシナリオを実行し、成果を分析して、ニーズに合わせたカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになるとしている。
たとえば、意思決定機能とAI機能を組み合わせることで、カスタマーサービス部門でコールセンターの担当者に、個々の顧客のニーズに応じた独自の対応や指示を与えることができるという。金融サービスの分野では、信販会社が様々なプラットフォームにおいてリアルタイムで最適なオファーを提供可能に。金融機関はこのソリューションを利用して、融資の承認プロセスを合理化できるとしている。
加えて、同ソリューションのワークロードは不正対策や承認プロセスの支援にも貢献。IT担当者はこのソリューションでLLMを活用することで、疑わしいメールの分析や特定を行うツールを開発できるとしている。これにより、組織のセキュリティを向上させ、大きな損失につながるデータ侵害を防ぎ、規制の厳しい業界におけるコンプライアンスを強化できると述べている。
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