SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Enterprise IT Women's Forum

2025年1月31日(金)17:00~20:30 ホテル雅叙園東京にて開催

Security Online Day 2025 春の陣(開催予定)

2025年3月18日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZineニュース

富士通、5Gモバイルネットワークの品質劣化防止と省電力化をAI技術で両立

 富士通は、NEDOの委託事業である「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、AI技術を活用し、モバイルネットワークの通信品質を高めつつ省電力化を図る技術などから成る、ネットワーク運用を高度化するアプリケーションを開発した。

 今後は、同アプリケーションをO-RAN仕様に基づく運用管理システム(SMO)「FUJITSU Network Virtuora Service Management and Orchestration」に搭載し、RU(無線装置)で培ったフットプリントを活かすことで、全世界のモバイルネットワーク事業者に向けて2024年11月よりグローバルに順次提供を開始する予定だという。

 同アプリケーションは、AIでネットワーク品質をリアルタイムで推定し品質を維持する技術と、イベント開催時などネットワーク品質の劣化を未然に防止する技術、基地局のカバーエリアを再設計して品質を維持する技術の3つで構成され、運用環境に近い条件下での検証で有効性を確認しているとのことだ。

 これにより、モバイルネットワークの利用者が期待する「つながりやすさ」を、通常時だけでなく自然災害などの有事やイベント開催時にも実現し、利便性と満足度向上、有事の安全性確保につなげるとしている。モバイルネットワーク事業者においては、トラフィック量に応じた適切な運用により運用コスト削減、省電力化を支援すると述べている。

今回の成果

AIを活用しモバイルネットワーク利用者のQoEのリアルタイム推定と品質確保を実現

 QoEをリアルタイムで推定し、QoE低下を検知した際には、自動的に他の基地局のネットワークエリアに切り替える技術を開発したという。

 同技術は、100GbpsのRANのトラフィックに対応した高速なパケット解析から、利用者単位、アプリケーション単位の統計データ(KPI)を算出し、そのKPIから特徴量を選択するだけでアプリケーションごとのQoEを推定するAIモデルを生成する技術で、多様なアプリケーションに柔軟に対応できるとしている。

 これにより、利用者一人ひとりのQoEを正確に把握し、必要なリソースを割り当てることで利便性・満足度を確保しつつ、過剰リソースを抑制することで1つの基地局あたりの収容利用者数を19%向上させることが可能になったとのことだ。

パケット解析によるQoE推定
パケット解析によるQoE推定
通信トラフィック上昇を予兆検知し、基地局の起動・停止により品質維持と省電力化を実現

 自然災害などの有事やイベント開催などの際に、通信トラフィックが通常時から上昇していることをAIで予兆検知することで、それまでスリープさせていた基地局を事前に起動させ、利用者の通信品質の劣化を未然に防止する技術を開発。

 これまでは、エリアごとのトラフィックをリアルタイムに監視し、起動させる必要のない基地局をスリープさせることで省電力化を図っていたという。今回はそれに加え、たとえば地域のイベントなど、通常時とは異なる人流の増加を検知することで、その後のグリッド単位でのトラフィック上昇を予兆する技術を開発。この予兆検知技術により、実証期間の99.8%の時間で利用者品質に影響を与えず、事前に基地局を起動することを実現したとのことだ。

 これにより、トラフィック状況に応じたきめ細かい基地局起動・停止を行い、富士通が2023年12月に発表した省電力アプリケーションと組み合わせ、QoE維持と省電力化の両立を可能にし、利便性と満足度向上、有事の安全性確保や社会課題の解決に貢献するとしている。

サービス品質の劣化検知とエリア再設計によるサービス品質維持

 単一セルにおける異常検知技術では、トラフィックの低下要因が単純な負荷低下なのか、異常なのかの判断が困難な状況があったという。同技術では、単一セルではなく、周辺セルとトラフィック傾向を比較してAIにより判断することで、高い故障検知精度(適合率92%以上)を実現。少ない故障データでの教師あり学習や、教師なし学習にも対応しているとのことだ。また、セルの重畳状況を踏まえたサービス影響度を把握することにより、優先的に復旧させるエリアを判断することが可能だとしている。

 この異常検知技術によって、サービスへの影響が大きいと判定されたエリアに対して、同技術ではさらに、影響があるエリアを救済するため、周辺セルの指向方向や負荷状況に加えて、実フィールドのパスロスを考慮した電波伝搬予測モデルにより、最適な周辺セルにおけるチルト角の算出を行い、故障セルによるサービス品質への影響を最小化。これにより、装置故障など異常発生時において、これまで復旧までに1日程度かかっていたところを、1時間以内に短縮し、利用者への影響を最小限にとどめることに成功したという。

サービス品質低下検知と復旧
サービス品質低下検知と復旧

【関連記事】
富士通、日本語強化型LLM「Takane」提供 プライベート環境で製造業や安全保障分野でも活用可能に
富士通、独デュッセルドルフにオープンAPNラボを開設へ 日本国外では初
富士通、Cohereと戦略的パートナーシップ締結 プライベート環境で利用できる日本語LLMを共同開発

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/news/detail/20574 2024/10/16 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング