日本設計とAutodeskは2024年10月、4度目となる包括契約を締結し、12月4日に記者会見を開催した。両社は2014年よりBIM(Building Information Modeling)の実現に向けたパートナーシップを結び、約10年にわたって協業を続けてきた。今回の契約更新により、BIMの確立・構築フェーズから実践フェーズへと移行し、データドリブン設計の基盤構築に向けた新たな取り組みを本格化させる。
日本設計の代表取締役社長 篠﨑淳氏は「建物のライフサイクルを通じて、オーナーや利用者にBIMの最大限の効果をもたらす建築、都市環境を提供すべく協業してきた。BIMは現在、試行・定着期から活用期の段階に来ており、新たなステージに挑戦していきたい」と語る。
両社は過去3年間、BIMワークフローの確立と実践を重ね、高品質・高効率な設計の実現を目指してきた。具体的には、BIMとデータベース連携の構築とプロジェクト活用、DX推進とデータドリブン設計の基盤構築の準備を進めてきた。今後の3年間は、さらなるDX推進に向けて、全体最適化を目指したデータドリブン設計の確立と実践に注力する方針だ。
日本設計は2022年からDX推進ワーキンググループを立ち上げ、2023年10月には「情報システムデザイン部」を新設した。これらを中心にデジタル基盤の整備やデジタルでの設計ワークフローの再整理を進めている。
また、マネジメント層を対象としたワークショップの開催を通じて、全社的なDXへの理解醸成を図っている。「データに基づいたプロジェクトマネジメントを推進することで、より効率的な意思決定と品質管理が可能になる」と、同社幹部は説明する。
Autodeskはオートデスクコンサルティングを通じて、日本設計の取り組みを支援している。世界的なBIMやDXの経験に基づき、Autodesk製品や他社ソリューションを組み合わせ、データを最大限に活用するための戦略やソリューションの提案、実行支援を行う。
さらに、最近では、「Autodesk AI」を開発し、設計や建築の分野でのAIの活用を推進している。「日本設計様にとって有用なものがあれば採用をご検討いただきたい」とオートデスク アカウント営業本部 営業部長の森田泉氏は語る。
Autodesk バイスプレジデントのルー・グレスパン氏は「建設業界における次世代のデジタル基盤として、フォーマと呼ばれる建設業界向けのインダストリークラウドを基盤とした、成果ベースの新たなアプローチを提供していく」と述べた。