2025年5月7日(米現地時間)から3日間にわたり、Nutanixは年次イベント「.NEXT 2025」を米ワシントンD.C.にて開催している。


同イベントの開幕に先立って、初日の基調講演には、Nutanix President & CEOを務めるラジブ・ラマスワミ(Rajiv Ramaswami)氏が登壇。「地政学的な課題、マクロ経済の動向など、世界は変わり続けている。しかし、我々が(ユーザーの)成功にコミットメントしつづけている点だけは変わらない」と強調。また、数年前は25社だったパートナー企業も、今年は86社にまで増えたとして、エコシステム戦略の拡充にも自信を見せた。

ラマスワミ氏が「モダナイゼーション」と「AI」の重要性を説く中、基調講演ではいくつかのアップデートが公表された。
ピュア・ストレージ(Pure Storage)との統合

「Nutanix Cloud Infrastructure(NCI)」は、ピュア・ストレージが提供する「Flash Array」とNVMe/TCP経由での統合が可能になる。今回の統合は、Nutanix AOS(Acropolis OS)が特定のハイパーバイザに依存しない設計である点から実現しており、外部ストレージ部分をピュア・ストレージが担いながら、Nutanix Prismでスナップショットやレプリケーションなどを実行する形になるという。また、「Cisco UCS」を含めた形で“検証済みの構成”としても展開される予定で、VMwareからの移行を検討する企業に向けて、新たな選択肢を提供することになる。なお、2025年夏には早期アクセス版、年内には一般提供が開始される見込みだ。
「Cloud Native AOS」ソリューションの提供

Kubernetesを中心としたクラウドネイティブ環境が浸透してきた中、Nutanixは、オンプレミスやクラウドなどの環境を選ばず、同じように運用・管理するための手段が求められているとして「Project Beacon」プロジェクトを推進してきた。今回、AOSをKubernetesの仕様にあわせて再設計した、Cloud Native AOSソリューションを発表。既に昨年から先行利用しているユーザーからは「オンプレミスと同じ操作感で利用できる」などのフィードバックが得られているという。既にAmazon EKSにて早期アクセス版が提供されており、2025年夏には一般提供を予定しているとのことだ(ベアメタル・サーバーでの早期アクセス版は、2025年内に提供予定)。
最新版「Nutanix Enterprise AI」の一般提供を開始
Nutanix Enterprise AIの最新版では、「NVIDIA AI Enterprise(NAI)」との統合が進んでおり、NVIDIA NIM マイクロサービスやNVIDIA NeMoフレームワークなどにも対応。モデルの実行からガードレールの設定までを1つのプラットフォームで提供できるようになったという。特にオンプレミスやクラウドを選ばずに同一のAIプラットフォームを展開できるようになり、明瞭な料金体系で提供されるため、エンタープライズ企業の本番環境でもAIを安全に利用しやすくなった点が特長とのことだ。なお、エージェント型モデルに対応したNAIは、既に一般提供されている。
また、基調講演の後半には、非営利組織「World Central Kitchen」の発起人としても著名なシェフであるホセ・アンドレ(Jose Andres)氏が登壇。600のレストラン、67万人の調理ボランティアを集め、1日50万食を配布する支援体制を作り上げた経験から、完璧な計画を練るよりも行動することの大切さが語られると、リーダーには柔軟に適応する力が必要であり、自分の専門分野ではない部分から学びや刺激を得ることの重要性が説かれた。

なお、2日目の基調講演には、元シークレット・サービス特別捜査官のエヴィ・ポンポウラス(Evy Poumpouras)氏をはじめ、各分野のエキスパートによる講演が繰り広げられる。EnterpriseZineでは、より詳細な現地レポートも配信予定だ。