日立システムズは5月8日、生成AI活用のニーズに対応するため、コンテナ型データセンターのラインアップをリニューアルし、販売開始した。用途別に、生成AI利用向けの「高負荷サーバーモデル」、専用環境向けの「サーバールームモデル」、キャリア基地局向けの「エッジコンピューティングモデル」の3種という。
コンテナ型データセンターは、IT機器・電源・空調設備などデータセンターに必要な設備をコンテナに凝縮したデータセンター。一般的なデータセンターを構築する場合と比べて短期間に低コストで構築でき、増設や移設も容易だという。

今回、日立システムズは、市場のニーズに合わせてラインアップをリニューアルし、日立グループ各社のサービスを組み合わせた、以下3種の標準モデルを提供開始した。これらにより、顧客はニーズに合ったコンテナ型データセンターを導入でき、生成AIの活用をはじめとした事業拡大に向けた取り組みを推進することが可能となる。また、自社敷地内の狭いスペースでも設置が可能であることから、病院や研究所など秘匿性が高いデータを、専用環境で管理したいというニーズへの対応も注目されているという。
モデル名 |
生成AIなど高負荷サーバーモデル |
専用環境サーバールームモデル |
基地局・エッジコンピューティングモデル |
---|---|---|---|
用途 | 生成AI利用などによる高負荷サーバーの稼働 | 研究機関、病院、プラントなど自社敷地内に設置するサーバールーム | キャリア基地局など通信網の拠点 |
特長 | 水冷によるダイレクトチップクーリングの冷却設備を提供 | ネットワーク接続やセキュリティの個別要件も含め提供 | 通信機器向け直流電源装置を提供 |
仕様・価格 | コンテナサイズ:40ft 2連棟 ラック数:20ラック IT負荷:800kW 1,000百万円程度 |
コンテナサイズ:36ft 2連棟 ラック数:8ラック IT負荷:100kW 250百万円程度 |
コンテナサイズ:20ft ラック数:4ラック IT負荷:25kW 100百万円程度 |
コンテナ内設備 |
発電機、水冷空調設備、UPS、消火システム、業務DXロボット「ugo」 | 発電機、空冷空調設備、UPS、消火システム、業務DXロボット「ugo」 | 発電機、空冷空調設備、UPS、消火システム、直流電源装置(専用機器用)、業務DXロボット「ugo」 |
また、データセンター内の点検を無人で行えるよう、自律走行と遠隔操作のハイブリッド型業務DXロボット「ugo(ユーゴ―)」を標準搭載。顧客は事務所にいながらugoを操作し、コンテナ型データセンター内の稼働状況の確認やシステム障害のチェックをすることが可能だ。
日立システムズは、3種の標準モデルを中心に、コンテナ型データセンターの拡販を推進し、2027年度までに累計100億円の売上をめざすという。今後、顧客の業務をシームレスにサポートするマネージドサービス群である「Hitachi Systems Managed Services」と連携し、コンテナ型データセンターのセキュリティ監視・運用をトータルで支援していく予定だ。また、全国約300の拠点にいる保守員による保守対応など、コンテナ型データセンターを導入した後のサポートも合わせて提供していく。さらに、日立製作所とも連携していく計画としている。
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