TISは「AI中心開発」を掲げ、システム開発における生成AIの活用を前提に開発プロセスを再設計し、2029年度までにシステム開発の開発生産性を50%向上させることを目標とした全社推進プロジェクトを発足した。
同プロジェクトでは、要件定義からテストまでのシステム開発プロセスの全工程で生成AIが活用できるよう組み込み、開発者・開発チームが生成AIを日常的に活用できる開発基盤を再構築するとのこと。これにより、開発者が仕様設計や顧客課題の抽出、合意形成などのより高度な業務に集中できる環境を実現するとしている。
生成AIを単なる業務効率化ツールではなく、品質・スピード・創造性を高める開発パートナーとして活用すること、また個々人の利用だけでなく組織・チーム単位で戦略的に生成AIを利用できる環境を作ることで、IT人材の高度化と開発現場の変革を同時に推進するとのことだ。
プロジェクトの概要
2029年度までに、システム開発における開発生産性の50%向上を目指し、以下のテーマに沿って全社的な推進を図るという。
開発プロセスの刷新
要件定義や設計を含むシステム開発の全工程で生成AIの効果を最大限発揮させるため、TISが保有するシステム開発基盤にAIエージェントを中心とする機能群を導入。それらを前提とした開発プロセスの最適化を実施するという。
また、進捗・品質管理などの従来のプロジェクトマネジメントプロセスについても、生成AIの活用を前提とした形へ再設計し、システム開発における生成AIのポテンシャルを最大限に発揮するとしている。
人・組織・文化の変革
ツール開発や技術導入だけでなく、生成AIを活用できる人材の育成と利用の習慣化、技術導入支援を通じて新たなプロセスの浸透を促進するとともに、AIとともに価値を創出するマインドの醸成を推進するという。中長期的には、生成AI時代に求められる人材の多能工化を推進し、人がビジネスの根幹と責任を担いつつ、生成AIと協働し、付加価値を生み出せる組織づくりを目指すとのことだ。
リスク管理
生成AIを安全かつ責任を持って活用し、顧客および市場への価値提供につなげるため、情報セキュリティ、知的財産、倫理などの観点に加え、国内外の規制や社会的要請の動向も踏まえながら、規程や契約の整備と生成AI活用を踏まえたリスクマネジメント体制を構築するという。また、TISインテックグループとしてAI活用に取り組む姿勢を「AI活用に関する基本方針」として公開するとしている。
今後について
同プロジェクトは、システム開発に従事する技術部門に加え、人材戦略、品質戦略、プロモーション戦略、リスク管理などを担う各本社部門が連携し、代表取締役社長をトップとする全社推進体制のもと進められるという。
2025年10月以降、TIS社内のパイロットプロジェクトへの適用を順次開始し、複数のプロジェクトでの試行を経て、2026年度末までにAI中心開発に対応した開発基盤およびプロセスの確立を目指すとのことだ。
また、2027年度から開始する次期中期経営計画の策定の中で、TISインテックグループ全体への開発基盤・プロセスに関する展開計画を立案し、グループ一丸となって取り組みを推進していくと述べている。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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