KDDIとKDDI総合研究所は11月26日、チャット上のやり取りにおいて、人間の応対を学習し高精度に再現するAIエージェントを新たに開発したと発表した。このAIエージェントは、KDDI総合研究所が開発・特許取得済みのハルシネーション(AIの誤回答)抑制技術を搭載することで、約90%の回答精度を実現するという。
同日より、auチャットサポート窓口の一部応対拠点にて本AIエージェントが導入されている。AIチャットボットが自動対応できない難易度の高い質問を対象とし、スタッフのチャット回答業務を支援。従来のRAG(Retrieval-Augmented Generation)手法では難易度の高い質問に対して約20%の回答精度に留まっていたが、同技術により過去の優良な応対事例を複数組み合わせ、情報収集・ファクトチェックを行うことで回答の正確性を高めた。
auチャットサポート窓口での活用イメージ
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実際、auチャットサポート窓口では、問い合わせ全体の約80%は従来のAIチャットボットで自動回答され、難易度の高い残り約20%はスタッフが対応してきた。月間で16万件に上るスタッフ対応の中では、スタッフごとに経験やスキルの差から応対品質や効率にばらつきが生じる課題があったという。今回のAIエージェント導入により、スタッフはAIによる提案回答文の確認と最終編集のみとなり、調査・作文の負担が大幅に軽減される。
KDDIによると、顧客一人あたりの応対時間は約70%削減できる見込みで、スタッフの応対品質の均一化にも効果が期待されるとした。このAIエージェントは他部署や他業種にも展開可能な汎用パッケージとして開発を終えており、今後はグループ会社や社内での活用拡大、商用提供も視野に入れている。
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