日本システム技術(以下、JAST)は5月27日、メディア関係者向けに中期経営計画(FY2026-FY2028)に関する説明会を開催し、SI/教育/ヘルスケア領域におけるDXの最新動向を踏まえた事業戦略を発表した。
同社 代表取締役社長執行役員の平林卓氏は、ITを取り巻く前提条件が「導入すること」から「業務や経営の成果を生み出すこと」へ移行するなか、完全独立系SIerとしての強みを活かし、顧客接点/業務プロセス/データが分断された現状を構造から再設計する「Re:Design DX」を提唱した。この思想のもと、受託開発を中心とした従来のビジネスモデルから、成功パターンを体系化して横展開する「オファリング循環モデル」への転換を図り、中期経営計画「JAST VISION 2035」の達成に向けた基盤構築を推進していく。
JASTはこの中期経営計画を実現するにあたり、特に注力する3つの領域として「SI」「教育」「ヘルスケア」を挙げた。
SI領域
同社の北村地彦氏は、従来の案件ごとに開発が完結して知見が属人化していた受託開発モデルから、成功パターンを再利用可能な仕組みとして標準化、サービス化する「オファリング循環モデル」への転換を急ぐとした。注力ポイントとして、2027年度にはAI駆動開発を事業全体へ導入し、すべての作業プロセスに生成AIを組み込んでスピードと品質を向上させる計画を示した。
これにより、SI領域の売上高を280億円に引き上げ、オファリング型ビジネスにおける比率を2025年度比で6倍に拡大することを目指すという。
教育領域
続いて登壇した同社 石川篤氏は、2025年度の4年制大学への導入において27.3%のトップシェアを持つ統合パッケージ「GAKUEN」シリーズを軸とした戦略を説明した。大学業界は現在、急速な少子化にともなう募集停止や学校法人の統合、財務省による私立大学250校削減案の提示など、厳しい現実に直面している。また現場では、学生の学習困難や中退の予兆を早期に把握できず、蓄積された教学データが経営判断に可視化されていないという本質的な課題があるという。
そこで、JASTの教育DXでは「経験と勘」に頼った大学運営からデータドリブンな大学経営への転換支援に注力している。具体的な施策として、愛媛大学との共同研究により、教学データを活用して退学率低減を目指す「アーリーアラートシステム」の開発と製品化を挙げた。
今後は従来の私立・公立大学だけでなく、東北大学や九州大学への導入実績を足がかりに国立大学市場へ本格的に拡大し、将来的には大学間での業務基盤の共同化による「持続可能な大学基盤の構築」をリードしていくことを目指すとしている。
ヘルスケア領域
続いて登壇した同社 青木亮氏は、超高齢化と人口減少による医療財政の逼迫を深刻な社会課題の一つとして挙げた。健康保険組合の約7割が赤字を抱えるなか、従来のデータ分析やAI予測サービスは、現場の意思決定や法制度、実際の業務に十分に接続されておらず、加入者の具体的な行動変容や成果創出に転換されにくいという構造的な限界があるという。
こうした課題に対応するため、同社は1000万人超の医療ビッグデータに加え、薬剤師・保健師・管理栄養士などの医療専門職とシステム開発力を掛けあわせた一気通貫の伴走型プラットフォーム戦略を掲げる。個人の生活習慣やオープンデータを統合した、パーソナライズされた介入プランを自動生成する仕組みを構築するとした。PDCAサイクルを回すことで精度が向上する学習ループによって加入者の行動変容を持続し、医療費の適正化と患者の重症化予防を現場に実装していくとのことだ。
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