マウスコンピューターは2026年6月24日、報道関係者やパートナー企業を対象とした「Mouse Communication Partner Conference」を開催した。会見には代表取締役社長の軣秀樹氏をはじめ、サポート、品質管理、法人営業などの部門責任者が登壇。2025年度の売上高が過去最高を達成したことを明かすとともに、激変する市場環境に対応する2026年度の方針を発表した。
最初に登壇した軣氏は、2025年度の実績として、売上高が730億円に達し前年比112%の増収となったことを報告。売上比率は法人が37%を占め、ゲーミングやクリエイター向けPCを統括する個人向けマーケティングも売上実績113%と伸長した。「販売台数を昨年より1台でも多く売ろう」という全社的な取り組みが功を奏し、PC・液晶モニターともに販売台数を大きく伸ばしたという。
軣氏は、「ものづくり企業として『ものづくり10』の精神でお付き合いしたい。何ができるかをみなさんと共に考えて盛り上げていきたい」と呼びかけ、今年も昨年を超える業績を目指すと意気込んだ。特に今年は、ビジネス向けPCブランド「MousePro」が15周年、クリエイター向け「DAIV」が10周年という節目を迎えるにあたり、さらなる攻勢をかけるという。
2026年度の事業方針として、価格、納期、ユーザー価値など5つの頭文字をとった「MOUSE」を標語に掲げる。中でも軣氏が強調したのがAI PCの普及だ。「特にAI PCの違いがわからない顧客が多いと思う。何が違うかを体験して選んでもらうことが大事。そういう場をもっと提供していきたい」と述べた。
続いて、サービス本部 福本部長の飯沼茂樹氏が登壇し、アフターサポートの取り組みを説明。同社は国内生産だけでなく国内サポート拠点にこだわり、新たに「3R推進室」を立ち上げている。同氏が掲げたカスタマーサービスのトレンドは「テクノロジーの活用」「顧客体験の重視」「収益構造の変化」の3点だ。
特に「生成AIで常識が塗り替わる可能性」を見据え、沖縄のコールセンターで音声認識技術を試験導入。通話内容をリアルタイムに文字でチェックできる体制を整えた結果、対応時間を2023年度比で15%減少させるという成果を出しているという。また、製品の性能差が縮小する時代だからこそ、2月に開設した法人顧客向け専用回線やエンジニア向けなどの窓口強化で差別化を図るとした。
執行役員 品質管理本部 本部長の今村究氏は、「品質で築く、お客様との信頼」という方針を掲げ、全社一丸で取り組む「MOUSE QUALITY」の5つの定義を説明した。
同社は10年以上の歳月をかけて不良率の改善を積み重ねており、近年は極めて低い数値で安定している。今後はこの水準を維持しつつ、さらなる顧客の信頼獲得へつなげる構えだ。
取締役 第一営業本部 本部長の金子覚氏は、法人ビジネスの2025年度実績がGIGAスクール事業などの牽引により昨対比114%へと増加し、年間約3万社との取引実績を達成したことを発表した。マス広告展開により、企業向けPCとしての認知・想起率も向上しているという。現在の強みとして、部材高騰や不足が続く状況下でも「安定した納期で届けられている」点を挙げ、これを支える国内サプライチェーンを今後も維持していくとした。
今後の重点取り組みとして金子氏が挙げたのが、「セキュリティ対策」と「行政調達要件の厳格化」への対応だ。近年の公共入札仕様書は各省庁によって要件が高度化しており、ハードウェア調達の現場でもAI PCや高スペック機が求められる傾向にあるという。
たとえば、関連分析ソフト(AIやBIツール)がローカル環境で快適に動作する高性能デスクトップPCを求めるほか、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクを低減するため製品のサプライチェーンリスクの排除や、万が一の故障時にも機密データを海外に出さない国内での迅速な修理対応が厳格に規定されているとした。
このように、ソフトウェアやクラウド側だけでなく、エンドポイントとなるハードウェア単体での「高度なデータ処理能力」と「強固なセキュリティおよび信頼性」の両立が、現在の法人・行政調達における必須要件となりつつある。
金子氏は、「セキュリティに対して、ハードウェアで何が求められているのかをさらに掘り下げたい。日本のメーカーが日本企業のために何ができるか、真摯に考えたい」とし、単なるスペックや価格の勝負ではなく、企業のDXや安全性をハードウェアから支え「これがいい」と選ばれるブランドを目指すとした。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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