パロアルトネットワークスは8月26日、国内の民間企業および公共機関のサイバーセキュリティ意思決定者を対象に実施した「フロンティアAI時代のセキュリティ対策の現在地と政府に期待する支援策」に関する調査結果を公表した。
同日開催の記者説明会に登壇した同社の和田一寿氏は、同社が7月に東京と大阪で開催した「Palo Alto Networks Frontier AI Open Summit」の背景とその成果について説明した。同サミットには335名、1,366組織(エンドユーザー111組織、パートナー25組織)が参加し、参加率は68.4%、アンケート回答数は112組織・215名(組織回答率82.4%)に達したという。参加者の関心は単なる「脅威レベルの変化」(56.5%)にとどまらず、「対抗するための重要ポイント」(63.6%)や「脆弱性運用の最適化」(36.9%)など、具体的な防御の手順や実装戦略に集まったとした。
和田氏は、防衛側の戦略として「防衛戦線(フロンティア1)」と「無力化戦線(フロンティア2)」の2つの概念を提示。フロンティア1ではゼロトラストの考え方をAIやクラウド環境に拡張し、隙のない防御を目指すが、現実的には攻撃を完全に防ぎきることは不可能だと指摘する。その上で、突破されることを前提とし、侵入した脅威を迅速に発見して無力化するフロンティア2の重要性を訴えた。
同社が実施したアンケート調査によると、ログ統合を行うSIEM(Security Information and Event Management)や運用自動化を担うSOAR(Security Orchestration, Automation and Response)のいずれかを検討・導入している組織は全体の50.0%(56/112組織)に達し、両方を検討・導入している組織も33.0%に上った。日本企業に根強く見られた「セキュリティ運用の外部丸投げ」から脱却し、自社で自動化ツールを選定・運用して自立的に対応しようとする意識の変化があらわれているとした。
続いて登壇した同社 天野宏氏は、「フロンティアAI時代のセキュリティ対策の現在地と政府に期待する支援策」の調査結果を踏まえ、政策面・ガバナンス面の課題と企業の実態について解説した。
調査結果では、政府や関連機関がリスクベースでのパッチ適用や多層防御の強化を促す一方で、現場の企業が直面する最大の障壁として「人材不足(107件)」と「ビジネスを止められないことに起因する、パッチ適用にともなうテストやシステム停止の難しさ」(107件)が同率で最多となった。次いで「高度な投資に向けた予算確保や経営層の理解不足」(89件)、「レガシーシステムやサポート切れ製品のなどの技術的負債」(56件)が続き、さらに「何から手をつければよいか分からない」という着手への戸惑いを抱える層も全体の3割程度存在することが判明した。
また、企業が政府に求める支援策の第1位は「ガイドライン・マニュアルの策定」であり、財政支援措置(補助金や税制優遇)を上回る結果となった。各企業は単なる金銭的支援以上に、複雑化するフロンティアAIの脅威に対してどのシステムからどのような手順で対応すべきかを示す道標を欲しているという。
財政支援の使途に関する設問では、「適切なセキュリティ製品・サービスの導入に対する補助金」が最も多く、次いで「セキュリティ専門家の社内雇用・育成支援」が上位を占めた。外部のコンサルタントや過度なアウトソーシングに頼る対症療法ではなく、最適なツールを導入した上でそれを扱いこなせる人材を社内で育成する「内製化・自立」への意欲が示されたとした。
天野氏は、「フロンティアAIの登場によってサイバー攻撃の脅威は日進月歩で激化しているが、企業側も1回限りの対策では終わらないという認識をもっている。外部依存から脱却し、社内に適切なツールと人材をそろえて継続的に対応できる基盤を今こそ作りたいというユーザー企業の意志がアンケートから見えてきた」と語る。
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