2015年の産業分野構成比は上位5産業で76.8%を占める
IDCでは、エンタープライズストレージシステム市場に外付型ストレージシステム、サーバー内蔵型ストレージシステム、ODM(Original Design Manufacturing)Directを含めている。ODM Directは、データセンター事業者などが自社のデータセンターの仕様にあったカスタム製品を製造事業者から直接調達するもの。
国内エンタープライズストレージシステム市場は、2014年は2,542億1,900万円だったが、2015年は2,720億3,900万円(前年比7.0%増)となる見込み。また、2015年の産業分野別の内訳は製造18.0%、金融17.6%、情報サービス14.9%、通信/メディア13.2%、官公庁13.2%が見込まれる。この上位5つの産業分野は、いずれも市場全体の10%以上の構成比を持ち、その合計は76.8%に達する。一方、他の産業分野はいずれも1桁台の構成比にとどまっている。
2019年には、国内エンタープライズストレージシステム市場は2,808億7,000万円に達するが、その産業分野別の内訳は製造17.8%、金融17.2%、情報サービス16.8%、通信/メディア14.8%、官公庁10.4%が見込まれる。
上位5つの産業分野の合計は、76.9%(端数処理[四捨五入]の影響により合計値の末尾は一致しない)に達する見込み。国内エンタープライズストレージシステム市場における上位5つの産業分野は2015年と変わらないが、その2014年~2019年のCAGRは産業分野によって大きく異なる。
情報サービスはクラウド向けインフラがけん引し、年間平均6.3%の高成長率
最もCAGRが高いのは、情報サービスの6.3%。情報サービスで高い成長が見込まれるのは、国内企業のクラウドサービス利用の拡大や、モバイルやソーシャルビジネスの利用拡大に伴って、それを支えるサービスプロバイダーのストレージインフラ支出が増加し続けると予測されるためだという。このことは、多くのサービスプロバイダーが含まれる情報サービス分野の支出額の伸びを下支えする。
IDC Japanでは、「情報サービスのストレージ支出の伸びは全産業分野の中で最も高い。しかし、その支出パターンは、従来の外付型ストレージシステム主体から、Software-Defined Storageの採用拡大に伴い、サーバー内蔵型ストレージシステムやODM Directの採用が増加する。こうした変化は、中/長期的にはその他の産業分野のストレージ支出パターンにも影響を及ぼすと考えられる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内エンタープライズストレージシステム市場産業分野別予測アップデート、2015年~2019年」にまとめられている。