2015年時点では「ハードウェア」と「コネクティビティ」が支出額の半分以上を占める
国内IoT市場の主要ユースケースにおける4つの技術グループに対する支出額の内訳として、2015年時点において支出額の半分以上を占めるのは「ハードウェア」と「コネクティビティ」だ。これは10年~20年ほど前から、製造業の工場などで、さまざまな組込み系産業機械の稼働状況を監視するようなユースケースが既に数多く存在していたことに起因している。
すなわち、ITの活用が各産業に未だ浸透していなかった時代においては、IoTの利用用途は「産業機械の状態をセンシングする」、または「産業機械の異常を知らせる」といった単純な用途が中心であり、したがって、ハードウェアとコネクティビティといったIoTに最低限必要な技術グループへの支出額が相対的に大きくなっている。
IoTクラウドプラットフォームやアナリティクス、付随サービスが急伸
一方で予測期間の後半では、「ソフトウェア」や「サービス」といった技術グループへの支出額割合が急速に増加し、2020年には約6割に達すると見込まれる。これは、IoTを活用する上での技術障壁やコスト障壁を大幅に軽減するIoTクラウドプラットフォームや、ネットワークにつながった機器の故障予測などを実現するアナリティクスソフトウェア、およびそれらに付随するさまざまな導入サービス/運用サービスといった技術要素に対する支出が急速に成長するためとIDCではみている。
IDC Japan コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「企業の事業部門におけるIoTへの関心が急速に高まる中、ITベンダーは各産業分野におけるユーザー企業のビジネスプロセスに対する理解を深めることが喫緊の課題となりつつある。その課題を解決する上で、ITベンダーは特定の産業分野に精通するパートナーとの連携を強め、企業に対して、ソフトウェアやITサービスといったIT分野のみでなく、OT(オペレーションテクノロジー)の分野も含めて、IoTソリューションの有効な営業/提案を行うべきである」と述べている。
なお、IoTとは「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイスからなるネットワークのネットワーク」であり、法人/政府/個人といった様々なユーザーが利用するユビキタスなネットワーク環境に対して、管理/監視/分析といった多様な付加価値を提供するものと、IDCでは定義している。
また、国内IoT市場のうち、IDCでは「主要ユースケース(用途)」に対するユーザー支出額を、(1) ハードウェア(センサー/モジュール、サーバー、ストレージ、セキュリティハードウェア/その他ハードウェア)、(2) コネクティビティ、(3) ソフトウェア(アプリケーションソフトウェア/セキュリティソフトウェア、アナリティクスソフトウェア、IoTプラットフォーム)、(4) サービス(導入サービス、運用サービス)という4つの「技術グループ」に分類している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IoT市場 テクノロジー別予測、2016年~2020年」にその詳細が報告されている。