今回の機能強化では、異なるバージョンのOpenStackが混在するマルチデータセンター環境でも、統合ポータルによる統一した運用を実現する。また、従来データセンター内ネットワークに適用していたSDNを、データセンター間のネットワークにまで拡大することで、マルチデータセンターを1つの仮想データセンターとして統合管理できるという。これにより、バックアップ側のデータセンターリソースを用いてシステムの迅速な再稼働が可能になり、事業継続性を向上させるとしている。
さらに、データセンターサービス事業者や企業向けに、マルチベンダ環境の物理/仮想ネットワークアプライアンスを自動構築する管理機能を提供する。これにより、データセンター全体での管理の効率化を実現するという。
今回の強化は、OpenStackを中心としたオープンソースソフトウェア(OSS)を積極的に活用し、新規に開発した機能をOSSコミュニティへ還元することにより、オープン性の高いクラウド基盤の実現に貢献するものだという。
提供されるサービス名とその概要は次のとおり。
・NEC Cloud System OSSクラウド基盤構築支援サービス:設計(要件定義・製品選定・パラメータ設計、運用設計も含む)、構築(サーバ、ネットワーク等のリソース設定、基盤セットアップ)、評価
・NEC Cloud System 統合運用サービス:顧客に代わり、24時間365日の運用作業を代行
・NEC Cloud System OSSクラウド基盤サポートサービス:Red Hat OpenStack Platform 7、他OSSを含む基盤ソフトの技術問い合わせ、障害解析、回避策の提示、ディストリビュータと連携したシステムの問題解決支援
今回のサービスの強化の特徴は次のとおり。
1. OpenStackのマルチバージョンに対応した統合ポータルを提供
OpenStackでは、実現されていないマルチデータセンター対応の統合ポータルをOSSで提供し、各データセンターで異なるバージョンのOpenStackが混在する環境でも、統合ポータルによる統一した運用が可能。これにより、各データセンターのリソースの払い出しや、データセンター間のネットワーク設定を1つのポータルから一括して行え、運用効率化を促進。
2. データセンター間のディザスタ・リカバリの仕組みを提供
従来、データセンター内ネットワークに適用していたSDNを活用したLANを、異なる地域にある複数(マルチ)データセンター間のネットワークにまで拡大(SDNを活用したWAN)することで、マルチデータセンターを1つの仮想データセンターとして統合管理できる。さらに、災害発生などに備えたディザスタ・リカバリの仕組みをOSSで提供。
3. マルチデータセンター環境に対応したポリシー(役割と権限)管理を実現
マルチデータセンターを1つの仮想データセンターとして一元管理するためには、各データセンターの管理者・テナント利用者のポリシーを階層化して統合管理する必要がある。今回、管理者・テナント利用者の両方でマルチデータセンター環境に対応した複数階層のポリシー定義機能を提供。これにより、マルチデータセンター環境におけるきめ細やかな階層管理が可能になる。
4. サービス事業者・企業向けにVNF/PNF管理機能を提供
従来の通信事業者向けに加え、今回新たにサービス事業者・企業向けにもVNF/PNF管理機能を提供。これにより、ファイアウォールやロードバランサなど、マルチベンダ環境の物理/仮想アプライアンスの自動構築が可能となり、ネットワーク構成変更への迅速な対応や運用コスト削減に貢献する。