2015年はメインフレーム向け支出額が335億3,200万円で前年比26.9%増
2015年の外付型エンタープライズストレージシステムの支出額が前年比で高い伸びを記録したのは、メインフレーム向けの大型更新案件が金融、官公庁を主体に集中したことと、オープンシステム向けが仮想化環境(サーバー仮想化、デスクトップ仮想化)やクラウド環境(パブリッククラウド向けとプライベートクラウド向け)で高成長を継続したためだという。2015年のメインフレーム向け支出額は、335億3,200万円で前年比26.9%増、オープンシステム向けが1,681億円で同4.2%増だった。
接続環境別に見ると、最も大きな市場規模を持つFC-SANの支出額は、986億2,900万円で前年比4.0%増。仮想化環境やクラウド環境でコストパフォーマンスに優れたミッドレンジクラスの成長が継続しているほか、全量フラッシュデバイスを搭載したオールフラッシュアレイが、国内市場で本格的に立ち上がってきたことがFC-SAN支出額の増加に寄与した。
NASは、462億2,500万円で同9.6%増となりました。NASの用途が従来のファイルサーバーにとどまらず、仮想化環境やクラウド環境でのストレージインフラに広がったことが成長につながっている。また、容量や機能を柔軟に拡張できるスケールアウトNASの比率が上昇した。
2015年~2020年の年間平均成長率は0.6%
IDCでは、国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額の2015年~2020年のCAGRを0.6%と予測している。2020年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額は、2,074億400万円に達すると予測している。
2016年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額は、前年のメインフレームの大型更新の反動でマイナスとなるが、2017年以降の支出額は1%台の成長を持続していくと予測している。仮想化やクラウド向けの支出のほか、オールフラッシュアレイなどを含めたフラッシュストレージへの支出額が増加していくと予測される。
また、国内外付型エンタープライズストレージシステムの2015年のベンダー別実績(売上額)もあわせて発表した。2015年の売上額では、日立製作所(シェア17.6%)、富士通(同16.7%)、EMC(同14.7%)、IBM(同11.4%)、NEC(9.5%)が上位5社だった。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ/PCs グループディレクターの森山正秋氏は、「国内エンタープライズストレージシステム支出額は、クラウド環境の拡大やオールフラッシュアレイなどの新テクノロジーの台頭に伴い、その構造が大きく変化している。ストレージベンダーは、大きな構造変化を踏まえた上で、自社が競争優位を持続できる市場を見出していくことが求められる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内エンタープライズストレージシステム市場予測、2016年~2020年」に市場予測の詳細が、「国内外付型エンタープライズストレージシステム市場シェア、2015年:ミッドレンジが成長を牽引」にベンダー実績の詳細が報告されている。