1. 2020年までに、1億人の消費者が拡張現実を利用してショッピングを行うようになる
Pokemon Goなどの拡張現実(AR)アプリケーションの人気がARを主流へと導く役割を果たし、より多くの小売業者がARをショッピング・エクスペリエンスに取り込むようになるだろう。モバイル・デバイスの利用が当たり前になるのに伴い、物理的な世界とデジタルの世界との境界はさらにぼやけ、企業およびその小売パートナーは、そうした習慣を活用してショッピング・エクスペリエンスを強化するメカニズムを開発する必要に迫られる。
ARアプリケーションを使用して物理的な世界の上にデジタル情報(テキスト、画像、動画、音声)を重ねることは、店舗内外の両方において、より深い顧客エンゲージメントを得る手段の1つとなる。例えば、消費者は、自宅でIKEAのカタログ・アプリを操作して、気に入った場所に家具を「配置」できる。こうした現実世界とのかかわりという要素が、ARアプリと仮想現実(VR)を提供するアプリの違いである。
2. 2020年までに、Webブラウジング・セッションの30%は画面を使用しないで行われる
Google HomeやAmazon Echoのような新しい音声中心型テクノロジによって、ダイアログ・ベースの情報へのアクセスがユビキタス(遍在的)になり、「音声ファースト」のインタラクションに基づく新しいプラットフォームが生まれつつある。
この新プラットフォームでは、情報へアクセスするに当たって手や目を使う必要がない。すなわち、音声インタラクションは、Webセッションの利用環境を、運転、料理、散歩、人付き合い、エクササイズの最中、また機械の操作中といった場面にまで広げる。結果として、目が覚めている時間のうち、オンライン・リソースへアクセスしていない時間の割合はゼロに近づいていく。
3. 2019年までに、ブランド保有企業の20%は自社のモバイル・アプリを放棄する
多くのブランド保有企業は、自社のモバイル・アプリケーションの採用レベル、顧客エンゲージメント、投資収益率(ROI)が期待を大幅に下回っていることを実感している。一方、ここ数年で、これまでに比べわずかな投資、サポート、マーケティング・コストでこれらのアプリケーションに近いレベルの効果を生み出す新たなアプローチが出現しつつある。
最終的には20%の企業が、期待した成果を挙げていないアプリケーションとこれらのアプローチを比較および評価し、アプリケーションを放棄することで損失を減らす道を選ぶ。
4. 2020年までに、世界の10億人以上の従業員の行動がアルゴリズムによって好転する
コンテキスト化アルゴリズムは、心理学、社会神経科学、認知科学の考え方を取り入れることで飛躍的に進歩している。人間は、感情に左右されたり事象に振り回されたりして、合理性を欠くことがあるが、アルゴリズムは、社会化を経て精査された知識を含む大規模な集合的メモリ・バンクによってインテリジェンスを拡張させることで、そうした行動を良い方向へ変化させられる。
すなわち従業員は、あらゆることを「思い出す」ことができたり、完全に未知の知識を最適なタイミングで知ることができたりするため、目の前のタスクを客観的に実行しながら、次々と起こるライフ・イベントをより楽しめるようになる。アルゴリズムの使用には、「不気味さ」という不安もつきまといますが、プラスの効果を出すように利用すれば、複数の産業に変化をもたらすことができる。
5. 2022年までに、ブロックチェーンを採用したビジネスは100億ドル規模に達する
ブロックチェーン・テクノロジは、取引記録における次なる革命として認識されている。ブロックチェーン台帳では、取引当事者間のすべての取引は取り消し不能であり、相互の閲覧が可能だ。取り消し不能という安心感があるため、各当事者は確定したブロックチェーン記録に基づいて直ちに行動できる。
いかなる種類のものであれ、価値の交換は数日どころか数分で実行できる。ブロックチェーン・アプリケーションは、現金のやりとりを解消し、取引費用を減らし、ビジネス・プロセスを促進する。ブロックチェーンは、いまだ発展途上であるものの、将来的に製品および設備への投資として魅力的な選択肢となる。
6. 2021年までに、個人の全活動の20%にデジタルのトップ7社のうち、少なくとも1社が関与するようになる
売り上げおよび時価総額に基づく現在のデジタル大手企業トップ7社は、Google、Apple、Facebook、Amazon、Baidu、Alibaba、Tencent。物理的な世界や金融、医療の世界がよりデジタル化するのに伴い、個人が行う活動の多くが、これらの巨大企業と何らかの「つながり」を持ったものになる。
このようなコンバージェンス(収束)は、あらゆる活動にデジタルの巨大企業のいずれか1社が含まれる可能性があることを意味する。モバイル・アプリ、決済、スマート・エージェント(Amazon Alexaなど)、デジタル・エコシステム(Apple HomeKit、WeChat Utility、City Servicesなど)によって、デジタルの巨大企業は、私たちが行う活動の大部分でその一翼を担うことになる。
7. 2019年末までに、企業はイノベーションに1ドル投資するごとに、その展開に対して7ドルの追加投資が必要になる
多くの企業にとって、バイモーダルなITスタイルを採用してイノベーションを始動させることは優先事項の1つであり、重要な最初の一歩である。モード1チームとモード2チームの緊密な連携は、デジタル・ビジネスというゴールの実現に不可欠だ。しかし、モード2のアイデア出し段階における「アイデア化ソリューション」の展開コストは必ずしも最初から考慮されておらず、また、初期の資金調達時にはモード1、すなわち着実な実施フェーズのコストが含まれていない場合が多くなっている。
アイデア化ソリューションの設計、実装、統合、稼働、管理は初期のイノベーション・コストを大幅に上回ることがある。このため、企業は、デジタル・イノベーション/アイデア化フェーズで支出した1ドルごとに、当該ソリューションの展開に平均7ドルを支出するようになる、とガートナーは予測している。
8. 2020年末まで、IoTによるデータセンター・ストレージ需要の増加率は3%に満たない
モノのインターネット(IoT)の領域では、2020年までに使用が見込まれるおよそ210億個のエンドポイントを通じて、膨大なデータが生成される。2020年には、データセンター内のHDDおよびSSDの容量は約900EB(エクサバイト)に達すると予測している。とはいえ、IoTセンサ・データ用途のストレージの割合は全体のわずか0.4%、マルチメディア・センサ・データ用途のストレージは同2%を占めるのみで、合計でも2.3%(丸め誤差含む)にとどまると見込んでいる。
これは、IoTが拡大して重要なデータ駆動型のビジネス価値および知見を提供するようになっても、ストレージ・インフラストラクチャの観点からは、データの増加は管理可能な範囲に収まることを示している。
9. 2022年までに、IoTは保守、サービス、消耗品に関して年間1兆ドルのコスト削減を消費者および企業にもたらす
IoTには、保守および消耗品のコストを削減する大きな可能性がある。チャレンジは、削減できたコストを管理コストの増加で相殺することなく、将来にわたりコスト削減を実現できるセキュアで堅牢な実装環境を提供するところにある。こうしたシステムには、シンプルなセンサで構成される低価格な監視システムも考えられる。アナリティクスにより、データの中に特定のパターンを発見し、経過時間や推定状況ではなく実際の使用および状況に基づいてメンテナンスを提案できるようになる。
一方で、デジタル・ツインにも注目すべきだ。デジタル・ツインは、センサで強化された現実世界のツイン(双子)からほぼリアルタイムでデータ・フィードを取り込み、他のデータ・ソース(気象情報、ヒストリアン・データ、アルゴリズム、スマート・マシン分析など)と共にこのデータを使用して、上述の現実世界にある相対物の物理的状態を反映させ、シミュレーションをアップデートする。
10. 2020年までに、従業員の40%が活動量計を着用することで医療費を削減できる
フィットネス・プログラム・マネージャーを任命し、人事のリーダーと緊密に連携させる企業が増える。そうした企業は、従業員の貢献度向上を目指す全社的なイニシアティブの一環として、健康維持プログラムに活動量計(フィットネス・トラッカ)の利用を含めるようになると考えられる。
医療サービス・プロバイダーは、ウェアラブル・フィットネス・トラッカから送信される、ユーザーの健康リスクを示すデータに基づいて行動することで、従業員の生命を救うとともに、その健康が阻害された場合に企業が被っていたであろうコストを削減できるようになる。ウェアラブル・ソリューションは、現在、または過去にさかのぼり分析対象となる豊富なデータを提供する。医師やその他の医療従事者は、情報共有に関する患者の同意を得ることで、コンテキストに基づく情報および既往歴へアクセスすることができる。