国内事業者DCに収容可能なサーバーラック1本当たりの電力キャパシティは、2016年末時点の平均値で2.87キロボルトアンペアと推定している(1キロボルトアンペアはほぼ1キロワットに相当)。
これをDCの竣工年代別に見ると、1999年以前に竣工したDCではラックあたり平均1.35キロボルトアンペア、2000年~2009年に竣工したDCではラックあたり平均2.62キロボルトアンペア、2010年以後に竣工したDCではラックあたり平均6.02キロボルトアンペアとなり、新しいDCほど電力供給能力が大きくなっていることがわかる。
これはサーバー処理能力の向上による小型化の傾向に加えて、2000年代後半から仮想化によるサーバー統合/集約、さらにクラウド環境の利用拡大により、ラック内のサーバー集約度が高まり、面積当たりの消費電力が増大しているためだ。
サーバー統合やクラウド環境を利用するためには、古いDCの電力キャパシティは適さず、電力供給能力が高いDCを使用する必要がある。古いDCでこれまで運用されてきたICT機器は、次々に新しいDCへ移設されつつある。
このため、最新仕様のDCに対する需要が伸びる一方、古いDCの稼働率は低下し、DC事業者にとっての収益力も低下している。「顧客のサーバー群が設置されている限り古いDCの運用を停止することは出来ないため、古いDCの余剰キャパシティの削減が、DC事業者にとって課題となる」とIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 国内データセンターの電力キャパシティ分析」にその詳細が報告されている。