「データ保護や災害対策」など複製データの増加も容量需要をけん引
この調査は、2016年12月に実施したWeb調査を基に分析を行ったもの。回答を得た700社の内訳は、大企業(従業員数1,000人以上)が315社、中堅中小企業(同1,000人未満)が385社だった。
2017年度の年間ストレージ支出に大きな影響を与えてるITプロジェクト(複数回答)としては、「サーバー仮想化の導入/拡大」(回答率30.3%)が他の回答を大きく引き離して1位であった。サーバー仮想化は、ITインフラ構築において標準的なテクノロジーとなり、企業のストレージ支出に大きな影響を与え続けていることが分かった。次いで、「プライベートクラウドの構築」(19.1%)、「データベース/アプリケーションの高速化」(18.3%)、「バックアップ/リカバリー」(17.3%)、「ファイルサーバー更改/増設/ファイル共有」(16.1%)が上位5項目だった。
国内企業が保有するデータ量は増加し続けているが、ストレージの保有容量が増加している理由(複数回答)では、「業務上長期保存が必要なデータの増大」(34.1%)がトップだった。コンプライアンス対応だけではなく、ビジネス利用のために長期保存されるデータの増大がストレージ容量のニーズを押し上げていることが分かった。次いで、「データ保護や災害対策の強化」(29.3%)のような複製データの増加が2位となり、「ITを活用した新規ビジネスの増加」(26.9%)、「ビジネスでの画像/音声/動画活用の増加」(25.7%)、「新規アプリケーションの増加」(25.1%)が上位5項目だった。
データ管理戦略では「セキュリティ」「高速化」「低コスト/大容量/長期保存」が上位に
増加し続けているデータの管理戦略については、10項目について重要度を「非常に重要」~「まったく重要ではない」の5段階で評価してもらった。その結果、「非常に重要」と「重要」を合わせた回答率が最も高かった項目は「データセキュリティ(情報漏洩/改ざん防止など)の確保」(63.7%)だった。次いで「データ処理の高速化」(62.1%)、「低コスト/大容量/長期アーカイブの実現」(56.8%)が上位3項目だった。
IDC Japan エンタープライズインフラストレクチャ/PCs グループディレクターの森山正秋氏は「ITを活用したビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)が課題になっている中で、データ管理とデータ活用はその中核になる活動である。ITベンダーは、企業のデータ管理やデータ活用をサポートするために、セキュリティ、データの高速処理、低コスト/大容量の長期アーカイブなどに対応したソリューションを提供することが求められている」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2017年 国内ストレージ需要動向調査:DXが与える影響」にその詳細が報告されている。調査レポートでは、国内企業のデータ保有量、ストレージインフラとしてのオンプレミスとパブリッククラウドの選定基準、ストレージインフラ構築の課題、ストレージインフラ戦略とデータ管理戦略で重要視する項目、オールフラッシュアレイとSoftware-Defined Storageの選定基準などについてユーザー調査に基づいて多角的に分析をしている。