2016年のデータセンターSDN市場は前年比70.8%の高成長を達成
最も導入が進んでいたデータセンターSDN市場においても、2016年はさらなる飛躍の1年になった。2016年の前年比成長率は70.8%と2015年に続き高成長を達成した。成長の背景には、マイクロセグメンテーションやネットワーク自動化の実現といったデータセンターSDN適用にふさわしい用途とその効果が市場内で定式化されたことが大きいとIDCではみている。
ベストプラクティスを得つつあるデータセンターSDN市場は、今後も成長を続けるとみている。2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は30.2%と高い成長を続け、市場規模は2016年の208億円から2021年には777億円に拡大する。
2015年以降息を吹き返した企業ネットワークSDN市場は、市場の盛り上がりに実績が伴ってきたといえる。インターネット接続における入口出口対策や、内部ネットワークにおけるマルウェア感染防止などのセキュリティ対策にSDN技術が有用であるとの認識が高まったことが成長の理由の1つである。
セキュリティ対策を始めとして、SDN技術を企業ネットワークに導入する余地はいまだ多く残されており、企業ネットワークSDN市場は2016年~2021年のCAGR 36.8%で今後も成長すると予測している。
2016年~2021年のNFV市場はCAGR31.7%で拡大
キャリアSDN市場とNFV市場は、一部で商用サービス提供環境に導入されるなど着実に進展している。一方で、キャリアネットワークにおけるこれらの技術の活用はまだ緒に就いたばかりといえ、今後市場は本格的な成長期への移行が見込まれる。
NFVのユースケースの中では、ソフトバンクやNTTドコモが商用環境にすでに導入しているvEPC(virtual Evolved Packet Core)が市場では最も進んでおり、今後機能や場所を選択しながら順次導入が進められるとみている。vEPCに加え汎用サーバープラットフォームをベースにしているIMS(IP Multimedia Subsystem)がNFV化で先行し、2016年~2021年のCAGR 31.7%でNFV市場は拡大するとみている。
通信事業者が今後NFVの導入を拡張していくに当たっては、いくつかの課題も明らかになっている。たとえば、仮想化環境の運用管理体制が未整備なことや、パケット転送をはじめとする処理能力への不安などがある。
「このような運用管理体制や処理能力の課題は、半導体性能の向上や技術の成熟、さらには運用側の習熟度向上によって解決される可能性は十分高い。しかしながら、ベンダーや通信事業者のNFV活用に対する積極的な働きかけがあって初めて解決されることを意識すべきである。NFVの進展には、通信事業者とベンダー双方の積極的な働きかけが必須である」と、IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内SDN、NFV市場予測、2017年~2021年」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内のデータセンターSDNと企業ネットワークSDNに関する分析、市場予測に加え、通信事業者向け市場におけるSDNとNFVに関する市場予測も行っている。