クラウド向けITサービス市場が特に大きな成長を見込む
IDCでは、第3のプラットフォームを構成する、クラウド向け、ビッグデータを含むビジネスアナリティクス(BA:Business Analytics)向け、エンタープライズモビリティ向け、ソーシャルビジネス向けの4分野向けのITサービス市場について2021年までの予測を行った。
調査の結果、同市場は単純積み上げ総額で、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)28.3%で、2021年には3兆2,679億円に達すると予測している。ただし、これらの4分野には例えば、クラウドを利用してアナリティクス基盤を構築する場合など、相互に重複する領域があるため、単純積み上げ額が支出総額にはならない点に注意が必要だという。
4分野のうち、特に大幅な成長が見込まれるのがクラウド向けITサービス市場。基幹系システムやERP等の既存業務システムからの移行型プライベートクラウド案件や、グローバル大手のパブリッククラウドサービスの再販と合わせて導入支援やマネージドサービスを提供する事業者が増加したことなどから、2016年の支出額が前年比47.3%増の3,549億円になったとみられる。2016年~2021年のCAGRは41.1%と非常に高い水準を維持し、2021年には1兆9,826億円に達すると予測している。
BA向けITサービス市場は、同期間のCAGR 14.2%で拡大する。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)における新たな価値創出の中核となるのがアナリティクスであるとIDCではみており、DXに関わるBA向けITサービス需要の拡大が牽引し、同期間の後半にかけて成長率が上昇していくとみている。
同期間のエンタープライズモビリティ向けITサービス市場はCAGR 22.9%で、「働き方改革」に関わる需要やDXに向けビジネスと密接に結び付くアプリケーション領域のサービスの拡大が牽引します。ソーシャルビジネス向けITサービス市場も、規模は小さいものの、デジタルマーケティングや顧客エンゲージメントの強化に向けた投資が進むことから、同期間のCAGR 30.9%と、高い水準で成長する。
クラウド向けを軸に4分野全てが高い成長を継続
国内第3のプラットフォーム向けITサービス市場はクラウド向けを軸に、4分野全てが高い成長を継続する。予測期間の後半にかけて、DX実現のために第3のプラットフォームやこれを活用したIoT(Internet of Things)やコグニティブ/AI(Artificial Intelligence)システムといったイノベーションアクセラレーターを組み合わせて導入/運用される案件が増加するとIDCでは予測している。
IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの植村卓弥氏は「ITサービスベンダーは、第3のプラットフォームやイノベーションアクセラレーターを個別に展開する従来の体制から、各技術要素を組み合わせて顧客のDXを支援する体制を整備しつつあるが、第2のプラットフォームに最適化された現状からの変革は容易ではない。しかし、評価制度や人材育成を含めたこうした仕組みづくりは、DX支援サービスとしての第3のプラットフォーム向けITサービス市場において成長を遂げるために重要な第一歩となる」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内第3のプラットフォーム向けITサービス市場予測、2017年~2021年」に掲載されている。