3つのトレンドとは、「どこでも人工知能 (AI) となる世界」「透過的なイマーシブ・エクスペリエンス(没入型の体験)」「デジタル・プラットフォーム」である。これらのトレンドは比類のないインテリジェンスを提供すると共に、まったく新しい体験を創出し、企業・組織が新たなビジネス・エコシステムとつながることを可能にする礎となるとしている。
ハイプ・サイクルの中でも最も歴史の古いこのハイプ・サイクルは、ビジネス戦略担当者や最高イノベーション責任者、研究開発リーダー、起業家、グローバル市場の開発担当者、先進テクノロジ・チームなどが先進テクノロジのポートフォリオを策定する際に考慮すべきテクノロジとトレンドを、業種横断的な視点から提示しているという。
「先進テクノロジのハイプ・サイクル」は数あるハイプ・サイクルの中でも独特のもので、2,000を超えるテクノロジの中から知見を抽出し、注目すべき先進テクノロジおよびトレンドとして簡潔にまとめ提示している。このハイプ・サイクルでは、今後5~10年の間、高度な競争優位性をもたらすであろう一連のテクノロジに特に焦点が当てられている。
どこでもAIとなる世界
これから10年にわたり、AIは最も破壊的な技術領域になる。その背景にあるのが、急成長するコンピューティング・パワー、ほぼ無限に増えるデータ、かつてない進歩を遂げるディープ・ニューラル・ネットワークである。これらの要因によって、AIテクノロジを導入している企業は、データを活用して新たな状況に適応し、さまざまな未知の問題を解消することが可能になる。このテーマに注力したい企業は、以下のテクノロジを検討する必要がある。
ディープ・ラーニング、深層強化学習、汎用人工知能、自律走行車、コグニティブ・コンピューティング、商用無人航空機(ドローン)、会話型ユーザー・インタフェース、エンタプライズ・タクソノミ/オントロジ管理、機械学習、スマート・ダスト、スマート・ロボット、スマート・ワークスペース
透過的なイマーシブ・エクスペリエンス
テクノロジは今後もますます人間中心型となり、人、ビジネス、モノが透過的に関係するレベルに達する。テクノロジがより適応的、コンテキスト依存的、流動的に進化するにつれ、人、ビジネス、モノの関係は、職場や自宅において、また企業や他者とのやりとりにおいて、さらに密接に絡み合うようになる。検討すべき重要なテクノロジは以下のとおり。
4Dプリンティング、拡張現実(AR)、ブレイン・コンピュータ・インタフェース、コネクテッド・ホーム、ヒューマン・オーグメンテーション、ナノチューブ・エレクトロニクス、仮想現実(VR)、立体ホログラフィック・ディスプレイ
デジタル・プラットフォーム
先進テクノロジは、必要なデータ量、高度なコンピューティング・パワー、遍在性(ユビキタス)に対応したエコシステムを提供する実現基盤の革新を求めるものだ。コンパートメント(区分)化された技術インフラから、エコシステムに対応したプラットフォームへのシフトによって、人と技術をつなぐまったく新しいビジネスモデルの基盤が形成されつつある。企業が注視すべき、プラットフォームを実現する主要なテクノロジは、以下のとおり。
5G、デジタル・ツイン、エッジ・コンピューティング、ブロックチェーン、IoTプラットフォーム、ニューロモルフィック・ハードウェア、量子コンピューティング、サーバレスPaaS、ソフトウェア・デファインド・セキュリティ
どこでもAIとなる世界に関わる先進テクノロジは、ハイプ・サイクル上を急速に進んでいる。ディープ・ラーニング、自律走行車、機械学習、コグニティブ・コンピューティングの各テクノロジは、ちょうど「過度な期待」のピーク期を越えつつある。このことは、これらのテクノロジが透過的なイマーシブ・エクスペリエンスの創出を実現する主要なテクノロジであることを示している。
3つ目のトレンドであるデジタル・プラットフォームもまたハイプ・サイクルを駆け足で上っており、新しいITの現実は、将来に向かう推進力を持った基盤プラットフォームを提供することで実現可能になることを示している。量子コンピューティング(黎明期を上昇中)やブロックチェーン(ピーク期を越えた位置付け)などのテクノロジは、今後5~10年において最も革新的かつ劇的な影響力を発揮すると考えられる。
CIOをはじめとするITリーダーが一堂に会する世界的なイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2017」において、先進のトレンドについてさらに詳細なプレゼンテーションが行われるという。「Gartner Symposium/ITxpo」は、10月31日~11月2日に東京で開催される予定だ。