市場品質問題とは、製品が市場に出てから起こる不具合などの品質問題を指す。いかに開発・製造段階で品質向上を追求していても、少なからず市場品質問題は発生しているという。そして、この市場品質問題への対応スピードこそが、製造業において重要な課題となっている総品質コストの削減に大きく影響するという。特にリコールによる製品回収になった場合など、対応が後手になれば、コスト増大のリスクに繋がる。
DTCとトーマツが提供する「QAS」は、こうしたリスクを回避するために、ビッグデータ解析技術を活用し、さまざまな市場品質情報から、優先度の高い問題を検知、開発・製造部門へフィードバックし、バリューチェーン全体の品質強化を支援するソリューションになる。
ディーラーからの保証依頼、クレーム、整備報告等のテキストデータ含む大量データを人手で抜けもれなく精査するには限界があるが、それらをビッグデータ解析技術により分析し、重大な品質問題に繋がる予兆を捉えるという。
「QAS」は問題が顕在化する前の段階で潜在的品質問題を自動検出するため、早期の原因調査・分析及び品質対策が開始可能となり、大幅な品質コストの削減が期待できる。また、IoTデータを取り込めば、問題発生を予測、予防保全への活用も期待できとしている。
今回、DTCとトーマツが本格的に提供を開始する「QAS」は海外での導入実績に加え、国内企業での先行導入・利用事例を踏まえて、パイロットフェーズから導入支援、導入後の運用・維持まで一貫したサービスを提供する。
また、トライアルフェーズにおいて、自社製品・事業の特性を考慮した分析モデルの検証・構築ができれば、以降は分析結果のみを享受するサービス提供スキームも用意している。これにより、ハードウェアやソフトウェアへの大きな投資や、自社で高度な技術を持った統計解析の専門家を採用することもなく、当該ソリューションの分析結果を継続的に活用することが可能だという。
■品質アナリティクスソリューション(QAS)が提供する3つの機能
1. データ統合機能:市場品質情報、社内不具合情報等の複数のデータソースから構造化・非構造化データを収集・統合する機能
2. アナリティクス分析機能:各企業の情報管理レベルや品質保証業務要件に基づいた複数の分析手法を組み合わせた分析モデルを構築し、構造化・非構造化データの相関分析を実施することにより潜在的品質問題を検出する機能
3. 可視化機能:アナリティクス分析結果から得られた高優先度の品質問題に対するスコア・警告を表示するダッシュボード機能
「QAS」は分析の前後に必要なデータ統合・識別など、労働集約的になりがちなデータ処理プロセスの自動化をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)との連携によって実現した実績も有しているという。また、新しい製品(モデル)や不具合事象に対して継続的に必要になる検出モデルのチューニングにおいても、今後AIを活用するなど、自動化への対応も検討している。