IoTをビジネスに活用する企業は増加し、その適用分野も多様化する傾向にある。ITRでは、IoTの活用分野を28種に分類し、各々の実施率(図)と投資状況を調査した。この結果、モノのトラッキング、工場生産の最適化、エネルギー消費の最適化をはじめとして、多岐に及ぶ分野への投資が進んでおり、導入企業の多くが効果を実感していることが明らかとなった。同市場は、活用企業が増加するとともに、1社あたりの投資額も増大することから、市場規模は2017年の約4,850億円から2020年に1兆3,800億円へと急速に拡大すると予測している。
ITRの取締役/リサーチ統括ディレクター/プリンシパル・アナリストである金谷敏尊氏は、「IoTは導入企業における投資意欲が非常に高く、すでに業界や業態を問わず広範の分野で活用されています。現在は、業務効率の向上やコスト削減を目的とした導入ケースが多く見られますが、スキルや技術が成熟するにつれ、IoT活用の目的が徐々にビジネスイノベーションの実現へシフトすることが予想されます」とコメントしている。
今回の発表は、ITRが2017年8月に実施した「IoT投資実態調査」をはじめとする各種調査結果に基づいて分析したハイライトを紹介するもの。IoT投資実態調査では、502社、1,111プロジェクトの有効回答を得ており、IoT市場規模の現在と将来について、以下の活用分野、業界、技術レイヤーに分類して捉えることが可能だという。このほか分析対象としては、採用技術、収集データ、推進上の課題、ベンダー認知度なども含まれる。
■活用分野(28分野):移動車両のトラッキング、モノのトラッキング、人のトラッキング、家畜のトラッキング、農業フィールドモニタリング、工場モニタリング、ホーム/ビルのモニタリング、小売店舗のモニタリング、公共設備のモニタリング、エネルギー供給網のモニタリング、輸送状態のモニタリング、車両の稼働状態モニタリング、人の健康のモニタリング/分析、家畜のモニタリング/分析、物理セキュリティ/警備、災害監視、自然環境モニタリング/分析、エネルギー消費の最適化、工場生産の最適化、サプライチェーンの最適化、配送ルートの最適化、シェアリングサービス、ウェアラブルデバイス、スマートプロダクト、コネクテッドカー/車両、スマート保険/テレマティクス保険、スマートリテール、IoT決済端末
■業界(15業界) :金融、建設、運輸、情報通信、エネルギー、化学、食品、自動車、機械、電機・精密、日用品、小売・卸、サービス、ヘルスケア、公共
■技術レイヤー(6レイヤー): アプリケーション、IoTセキュリティ、プラットフォーム、広域通信、近距離通信、デバイス/センサー