新製品は、最先端LSIテクノロジーに加え、NEC独自の高密度実装技術や高効率冷却技術などで開発されたカード型の「ベクトルエンジン(VE)」を搭載した。
VEをカード型とし、x86サーバーへの搭載を可能とした新アーキテクチャの採用により、ベクトル演算に加えx86で行うスカラ演算の両ニーズに対応した。さらに、VEの搭載数によりエッジ用からデータセンター用まで幅広いラインアップを揃え、計算能力ニーズに応じた選択を可能とした。
なお、従来機種「SX-ACE」と比較し、性能あたりの消費電力を5分の1に、また設置面積を10分の1に低減した。
新製品の概要は次のとおり。
・SX-Aurora TSUBASA(エッジ用、オンサイト用):搭載VE数=1~8、提供予定時期=2018年2月以降
・SX-Aurora TSUBASA(データセンター用):搭載VE数=64、提供予定時期=2018年7~9月
1. 世界一のコア性能を実現したベクトルプロセッサをカード型VEに搭載
新開発したカード型VEに搭載されるベクトルプロセッサは、世界初のメモリ搭載構造(を採用し、「SX-ACE」の単一コア性能をさらに約5倍高速化させ、世界一の単一コア性能307ギガフロップス(GFLOPS:1秒間に10億回の浮動小数点演算性能)、および世界一の単一コアメモリ帯域150ギガバイト/秒を実現した高性能コアを8コア採用し、2.45テラフロップスの演算性能と1.2テラバイト/秒のメモリ帯域を実現。
これにより、多数のプロセッサが必要といわれるスカラ型並列コンピュータと比較して、少ないプロセッサ数でも、複雑な科学技術計算において高い性能が得られ、並列プログラミングの負担を軽減。
2. オープン環境との融合でより使いやすく、利用範囲拡大へ
新製品では、x86ホストサーバ(OS:Linux)とカード化されたVEが連動して動作する新しいアーキテクチャを採用し、スカラー(x86)向けアプリケーションはホストサーバ側で稼動させ、ベクトル性能が高いアプリケーションはVEで稼動させるなど、より多くのアプリケーションが利用可能なハイブリッド環境を提供。
VEの性能を引き出すためのソフトウェア環境としては、従来のSXシリーズ同様にNEC独自のベクトルコンパイラ、分散並列化ソフト「NEC MPI」、分散・並列ファイルシステム「NEC Scalable Technology FileSystem(ScaTeFS)」、ジョブスケジューラ「NEC Network Queuing System V(NQSV)」などのソフトウェアを提供し、高度なアプリケーション開発と安定したシステム運用を支援。
3. タワー型から大規模システムまで柔軟なシステム構築が可能に
新製品では、VEをカード化したことにより、エッジ用(VE数:1)、オンサイト用(VE数:2、4、8)、データセンター用(VE数:64)まで、幅広い筐体サイズへの対応が可能となり、計算能力ニーズに応じた選択を可能とした。これにより、従来の大規模データ解析を行っているユーザに加え、AIやビッグデータ解析を行う企業や研究所の研究者・開発担当者なども、高性能ベクトルマシンを利用することができるようになった。
なお、1ラックあたりでは最大156テラフロップスのラック演算性能、および76.8テラバイト/秒のメモリ帯域を実現している。ラックの接続数には制限がなく、利用環境に合わせた大規模なシステムを構築することが可能。