
データの利活用がビジネスを大きく左右する時代、多くの企業で分析基盤の導入が急ピッチで進められている。しかし、基盤を導入してもデータ自体の整理が進まず、苦労しているケースは少なくない。多彩なデータを統合し、利活用できるようにはどうしたらいいのか。そうした企業の課題に向き合い、数々のデータ統合プロジェクトを支援してきた株式会社リアライズの櫻井崇氏が登壇し、経験に基づく実践的なデータ統合の進め方について語った。
データ分析の成否を決める、分析基盤導入前の「データマネジメント」
冒頭、櫻井氏は「地味ですが」と前置きしながら、「データを利活用するためには、マスタ統合や分析基盤をつくる”前にすること”がある」と語る。

株式会社リアライズ 取締役 データマネジメント事業部 副事業部長
兼 マーケティング・営業部 部長 櫻井 崇氏
その櫻井氏が所属するリアライズは、データマネジメントを通じて顧客企業の情報活用を実現することを企業命題としており、現状データの調査から方針策定のコンサルティング、データの構築から運用までをワンストップで提供している。特にコンサルティングで策定した方針を実現するためのデータ構築がシームレスにできること、そして「データを使い続けていくこと」を意識したデータ運用までできることが強みだ。

サービスの全体像 出所:「data tech 2017」
株式会社リアライズ 櫻井 崇氏 資料より[クリックすると図が拡大します]
対象はデータが関わるあらゆるシステムとなり、顧客企業も自動車メーカーから通販、銀行など幅広く、テーマや課題も様々だ。特に「データマネジメント」を中心に、具体的には様々なデータを統合する「マスタ統合」や活用するための「データ品質」、それらのデータを守っていく「組織」などについて課題解決ニーズが高まっているという。
16年で800件以上のプロジェクトに取り組む中で、特に近年はビッグデータの流行もあってか、大規模な情報分析基盤を導入した後になってデータ品質や分析に悩む企業も少なくないという。しかし、基盤に予算を費やした後であり、なかなか改善が難しいというのが実情だ。
そうならないために「データ活用は、どこから手をつけると効果が上がるのか」。その答えの一つとして櫻井氏は「データマネジメント」の重要性を強調し、「データに直接向かい合うことが大切」と語る。その中で誤解が生じがちなものの一つが「業務データと分析データの混同」だ。
業務用データは人が使うものであり、分析のためのデータは「有限な状態への分類」か「数値の大小」に限られる。つまり、名前やフリーテキストはそのままでは分析できない。分析用データに加工するノウハウがなければ、宝の持ち腐れというわけだ。
そうした誤解や思い込み、いい加減さなどが積み重なり、社内には使えないデータが山ほどある。それを整備しないまま、分析基盤だけ入れてもうまくいかないのは火を見るより明らかといえるだろう。
この記事は参考になりましたか?
- data tech 2017 セミナーレポート連載記事一覧
-
- データ活用の達人たちが語る「データ活用基盤のこれから」―セゾン情報 小野和俊氏、ノーチラス...
- 分析基盤の導入に不可欠なデータ統合の進め方――リアライズ 櫻井崇氏が解説
- IT部門はデータマネジメントを基点に「データドリブンへの変革」を推進せよ――PwCコンサル...
- この記事の著者
-
伊藤真美(イトウ マミ)
フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア