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data tech 2017 セミナーレポート

IT部門はデータマネジメントを基点に「データドリブンへの変革」を推進せよ――PwCコンサルティング 高橋功氏

 データ活用の必要性やデータ経営の重要性は声高に叫ばれているが、それを実際に自社でうまく適用するために求められる要件とは何か。「data tech 2017」(主催:翔泳社)の特別講演に登壇したPwCコンサルティング合同会社 テクノロジーコンサルティング シニア・マネジャーの高橋功氏は、企業がデジタル変革を実現する上でのキーポイントとして「データマネジメント」を挙げる。同氏いわく、データを基点とした意思決定、いわゆる「データドリブン」な経営スタイルを実現できるかどうかが、デジタル変革の成否を分けるという。

データ活用の鍵を握る「データドリブンへの変革」

 「以前からデータ活用の必要性や重要性は声高に叫ばれていますが、実際には欲しいデータが見つからなかったり、データの利用価値が分からなかったりと、ほとんどの企業ではビジネスに生かせるデータの価値を見い出すことができず、ビジネスに役立つデータがあることは分かっていても、それらを実際に活用するための適切な施策や投資を打つことができずにいます」

PwCコンサルティング合同会社 テクノロジーコンサルティング
シニア・マネジャー 高橋 功氏

 冒頭で高橋氏は企業のデータ活用の現状をこのように説明した後、こうした現状を打破するには「データドリブンへの変革」が鍵を握ると説く。データドリブンとは、ビッグデータ分析によって現状の可視化だけでなく、データを基に将来予測や企画立案、さらには実際の意思決定やビジネスアクションまでをも導き出す考え方のことを指す。これを実現することで、経営リソースをより効率的に配分できるようになり、収益向上とコスト削減の両立が可能になるという。  

出所:PwCコンサルティング合同会社[クリックすると図が拡大]

 例えば製造企業であれば、データドリブンによるデータ活用の高度化で製品の故障時期を予測することで、故障前にメンテナンスや交換を行う「予防保全」が可能になる。これにより企業は、単に製品を売るだけでなく、アフターマーケットで付加価値を創出するサービスビジネスへも進出できるようになる。  

 このデータドリブンを実現する上では、データ分析手法を駆使して、これまでのデータ活用の在り方を高度化する必要がある。従来のデータ活用では「正常か異常か」の二択しか分からなかったところを、データ分析によって異常状態に至る過程の「変化の兆し」を検知して将来を予測し、先回りして自動的に対処する。このように正常と異常の間の「中間状態」を可視化することで、意思決定を自動化し、かつ意思決定ロジックをブラッシュアップできる。

 高橋氏によれば、こうした一連のデータドリブンのプロセスを確立し、データの高度な活用を実現するには、大きく分けて2つの基本的な施策が必要だという。  

 「1つは、自社内に存在するデータをきちんと可視化して、利用できる形に整理する『データ管理基盤』が必要になります。もう1つは、データを高度に使っていくための『運用体制』です。現場のニーズを洗い出して、それに即したデータ活用の取り組みを徐々にブラッシュアップしていけるプログラムマネジメントが必要です。この2つの取り組みが両輪となり、初めてデータドリブンへの変革が実現します」

出所:PwCコンサルティング合同会社[クリックすると図が拡大]

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データドリブンのベースとなる「データ管理基盤」

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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