本セッションでは、小野氏の進行の下、「次を見据え企業が備えておくべきデータ活用基盤とは? RDBMS、Hadoopの活用からディープラーニング・AI技術の今後まで~」と題して、日本企業におけるデータ活用の現在と将来をテーマに、歯に衣着せぬトークが繰り広げられた。
「データ活用基盤」が効果を発揮するには?
本パネルディスカッションのメインテーマである「データ活用基盤」。その位置付けについて、神林氏は「データ活用基盤だけがあってもあまり意味はない」と指摘する。
「データ活用基盤を構築して、そこから何らかのデータ分析のアウトプットを得られたとしても、それをビジネスに結び付けられる人材やアイデアがなければ具体的な結果には結び付きません。しかし実際には、多くのお客様から『うちにはデータ活用基盤を使いこなせる人材がいないから、すべてのプロセスを自動化してくれ』という要望を受けます。こうした姿勢では、決してイノベーションは生まれません」(神林氏)
木内氏も同様に、「システムとしてのデータ活用基盤を構築するのは、実はさほど難しくありません。しかし、実際にデータを利活用するための基盤には企業文化が色濃く反映されますし、データを活用できる人材の育成には時間がかかりますから、真の意味でのデータ活用基盤はそう簡単には実現できません」と述べる。
ちなみに、木内氏の出身母体である建設業界では、いわゆる「ビッグデータ」はほとんど存在せず、大量データの分析から知見を見出すような取り組みはあまり行われていないという。しかしそれでも、データには極めて大きな価値があるという。
「たとえビッグデータでなくとも、ある程度の量のデータがきちんとした形で蓄積されていれば、現場の人間はそこから自発的に何らかの知見を見出すものです。かつて調達システムの開発を手掛けたことがあったのですが、過去の調達データがどんどん溜まっていくと、現場では自然とそれらを参考により精度の高い調達を目指すようになりました」(木内氏)