少し気になるところ
谷川氏:先ほど、Db2の気に入っている点についていろいろ挙げていただきましたが、逆に「ここはイマイチ」「ここがもっと良くなればなあ」と感じているようなところはありますか?
齊田氏:個人的には、参照制約周りでたびたび面倒な操作を強いられるのが少し気になりますかね。
一同:あるある。
三森氏:あと、オープン系のDb2 for LUWに限った話なんですが、pureScaleを使ったアクティブ・アクティブ構成をとるためにInfiniBnadといった専用ハードウェアが必要で、ちょっと敷居が高すぎるのではと常々感じていました。現在ではそのあたりの制約はかなり外れてきているようですが、それでもOracle RACのようにもう少し手軽に使えるようになれば、私たちパートナーとしてもお客様への提案の幅が広がると思います。
大月氏:確かに、かつてのpureScaleのハードウェア要件はかなり限られていましたが、現在ではそうした制約はほぼ取り払われ、InfiniBandではなく、TCP/IPだけで内部通信できるようになりましたので、導入のハードルは低くなっています。また性能の面でも、少し前に検証した際は、TCP/IPを内部通信に使い、さほど大きくないクラスターで、秒間2000トランザクションぐらいまでは追随できていましたね。developerWorksにも、「pureScaleをクラウド環境で動かしてみよう」と、AWSでpureScaleを動かしてみた記事を書いたので、ぜひご参照ください。
新田氏:監視系の機能も、もうちょっとかゆい所に手が届くといいなあと感じることがあります。例えば、最近パッケージ・キャッシュ・ステートメントレベルのモニター表関数「MON_GET_PKG_CACHE_STMT」ができて、デルタ値が取れるのではないかと期待していたのですが、SQLが終了したときにまとめて情報が書かれる仕様になっていて、実行途中のモニタリングができないのがちょっと残念でした。
佐藤氏:私もその点についてはちょっと気になりますね。メインフレーム版のDb2ではSMFという機能を使って常時トレースできますし、その粒度も細かく指定できるのですが、Db2 for LUWではその時点でのスナップショットしか見れないので、ちょっと不便に感じることがありますね。
谷川氏:メインフレームからの流れを考えると、Db2は監視機能が極めて充実しているイメージがあったのですが、中にはそうとも言い切れない部分もあるんですね。
大月氏:確かに、本番運用に負荷を掛けずに個々のイベントのモニタリングを行う機能は、zに比較すると、LUWにはまだ足りないところかもしれません。でもそのかわりに、統計的なビューを充実させて、後はSQLで工夫してレポート的なものを出したり、もしくは累積値で累積していって、それを分かりやすいレポートの形で可視化できるような、ベーシックな機能を提供している感があります。その一方で、エンタープライズ・マネージャのような、もっと簡単に見えるようなものが欲しいという声もあって、リアルタイムで見ることができるData Server Managerを提供しています。最近は、クラウド上のDb2や、Dockerイメージで提供されるDb2にも、このData Server Managerが入っていて、すぐ使えるようになっています。
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以上、Db2に関しては一家言持つコアなユーザー同士が集まっただけあり、熱い意見が飛び交う“濃い”座談会となった。なお後編では、気になる機能や最新の機能について、さらにマニアックな意見が交わされた模様をお届けする。
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